高効率のインバーター減速機一体化モーター
モーターは、EV用減速機とインバーターを一体化して小型化した。同社はこれと電池を合わせて「PE(Power Electric)システム」と呼ぶ。一体化したことで部品間のエネルギー伝達ロスを低減した。また、モーターの最高回転速度を70%、デファレンシャルギア比を33%増加させ、動力性能とトルク密度を向上した。小型化しても既存システムと同等の性能を維持しつつ、搭載時のスペースと質量を減らせる。SiC半導体を採用したインバーター・パワー・モジュールにより、従来のSi半導体のインバーターと比べてシステム効率が2~3%程度向上した。これにより同じ電力量でも航続距離が最大5%延長するという。
モーターには、新しいヘアピン巻き線技術と新しい冷却方式を採用した。モーターはコアスロットにコイルをより密に巻くほどモーターの巻き線抵抗が減り、効率が向上する。ヘアピン巻き線技術は、ヘアピン形状に似た長方形コイルをコアスロットに挿入する。既存の丸形巻き線コイルを使用するとコアスロット内に空き領域ができる。同社はコイル形状を変えることでコイルのスペース係数を10%増やした。冷却システムは、間接的に冷却する水冷方式で、モーターと一体化した減速機から冷却・潤滑オイルを直接モーターに噴射する。