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 オムロンは、生産設備の異常状態を監視する「状態監視機器」の新シリーズとして、設備に搭載されたサーボモーターなどの絶縁抵抗を測定する機器「K7GE-MG」を発売した(図1)。絶縁抵抗の劣化傾向を数値で把握し、設備の突発故障を防止するのに利用できる、熟練の保全者のノウハウを機能に盛り込み、手動に比べて再現性の高い計測を自動化して、設備点検工数の削減を図った。

図1:「K7GE-MG」の外観
図1:「K7GE-MG」の外観
(出所:オムロン)
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* オムロンのニュースリリース:https://www.omron.co.jp/press/2020/11/c1130.html

 K7GE-MGでは、熟練保全員がノウハウとして持つ作業内容を設定パラメーターに取り入れた(図2)。例えば、測定対象が完全に停止するまでの待機時間を設定できるようにした他、配線にたまった電荷をK7GE-MGに内蔵した抵抗で強制放電する機能を搭載。計測値が安定するまでの時間も設定できる。これにより、傾向監視に必要な再現性の高い計測が可能だとしている。

図2:手動計測(上)と「K7GE-MG」による自動計測(下)の比較
図2:手動計測(上)と「K7GE-MG」による自動計測(下)の比較
(出所:オムロン)
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 従来の手動測定では、測定対象の完全停止を確認する、電荷が放電されるのを待つ、計測値が安定するのを待つなど、保全員が目視や経験、感覚で判断する作業が多い。そのため、測定者や測定条件によるバラつきが発生しやすく、再現性が低かったという。

 加えてK7GE-MGは、短時間の設備停止時に自動で測れるので、測定の頻度を高められる。年1回など間隔を置いた点検よりも絶縁劣化を捉えやすく、設備の突発停止を防げる。

 計測範囲は0.1M~99.9MΩで、計測精度は±5%。測定対象への印加電圧(メガー電圧)を直流(DC)50Vに抑えながら、DC500V/1000Vを印加するメガーテスターと同等の精度で結果を得られるようにした。そのため、メガーテスターを用いて手動で測るのに比べて、測定対象にかかる負担を減らせる。

 計測は、外部接点入力や通信、本体の前面に搭載したスイッチなど、任意のトリガー入力で始められる。計測結果は本体の表示を現場で確認できる他、タッチパネルやPLC(Programmable Logic Controller)、通信変速器を使用したネットワークに接続すれば、遠隔監視も可能だ(図3)。測定対象と接続するプローブユニットは8台まで増やせるので、設置スペースを節約できる(図4)。

図3:ネットワーク接続のイメージ
図3:ネットワーク接続のイメージ
(出所:オムロン)
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図4:プローブユニットの増設イメージと外形寸法
図4:プローブユニットの増設イメージと外形寸法
(出所:オムロン)
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 K7GE-MGを設備に配線したまま、メガーテスターによる法令点検も実施できる(図5)。計測中以外は内部接点でK7GE-MGと測定対象を遮断しており、メガーテスターの測定結果に影響を与えない。

図5:「K7GE-MG」シリーズを配線した状態でのメガーテスターによる測定イメージ
図5:「K7GE-MG」シリーズを配線した状態でのメガーテスターによる測定イメージ
(出所:オムロン)
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