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 米Intelの研究所(Intel Labs)は、4Kの極低温で動作する量子ビット制御チップの第2世代版「Horse Ridge II」を開発した(ニュースリリース)。同研究所は2019年12月に、オランダ・キューテック(QuTech)と共同開発した初代の「Horse Ridge」を発表している*1、*2

Horse Ridge IIが動作する量子コンピューター
Horse Ridge IIが動作する量子コンピューター
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 Horse Ridgeは、量子ビットを収める極低温のチャンバーでの動作を狙っている。実現すれば、チャンバー内の量子ビットと外部の制御チップを結ぶケーブルが不要になり、量子コンピューターの商用化に弾みを付けられるとする。Horse Ridge IIもHorse Ridgeと同じ狙いのチップで、マイクロ波のパルスで量子ビットの状態を制御する方式も同じである。

 初代Horse Ridgeにはなかった新機能がHorse Ridge IIでは2つ追加された。量子ビットの状態を読み出す機能と、「マルチゲートパルシング」と呼ぶ複数量子ビットを同時に制御する機能である。また、マイクロコントローラーコアが追加された。これで、最大16スピン量子ビットの駆動、最大6量子ビットの読み出し、最大22量子ビットゲートの制御が同時に行えるようになった。また、このコアは制御パルスにフィルターをかけることで、量子ビット間のクロストークを低減させる役割も担う。

 Horse Ridge IIは、初代Horse Ridgeと同じ22nmプロセスで製造され、4Kでの動作が確認されているが、これは現在の量子ビットの動作が要求するmKに比べるとかなり高温である。Intel Labsは「シリコンスピンを利用した量子ビットは1K以上の温度で動作する」としており、制御チップとシリコンスピン量子ビットを同じ温度で動作させるための研究開発を続ける。

 Intel LabsはHorse Ridge IIの詳細を、21年2月にオンライン開催される国際学会「ISSCC 2021(International Solid-State Circuits Conference 2021)」において「A Fully Integrated Cryo-CMOS SoC for Qubit Control in Quantum Computers Capable of State Manipulation, Readout and High-Speed Gate Pulsing of Spin Qubits in Intel 22nm FFL FinFET Technology」というタイトルで発表する(講演番号 13.1)。