世界半導体市場統計(World Semiconductor Trade Statics、WSTS)は2020年秋季予測を発表した(ニュースリリース)。WSTSは年2回、半導体市場予測を発表している。昨年(2019年)までは、毎回、加盟会社が集まり会議を開き議論を交わして、予測値を決めてきた。ところが、前回予測(20年春季予測)は、新型コロナウイルスの感染防止のために会議は開かれなかった*1。今回も会議は開かれずで、2回連続して、加盟会社の予測値の平均を取るという形になった。
その平均値を取った21年の世界半導体市場の予測値は、前年比8.4%増の4694億300万米ドル(約49兆8500億円、為替レートは1米ドル=106.2円)。前回予想では21年は前年比6.2%増としていたので、2.2ポイントの上方修正となった。「21年は、新型コロナウイルスを巡る状況の改善を前提に世界経済も回復すると期待し、半導体市場の成長が加速する予測となったのだろう。特に20年に打撃を受けた自動車業界の急回復を想定したと見られ、関連市場は高成長が予測された。また5G化の更なる進展が幅広い半導体製品の需要拡大に貢献すると考えられる」(WSTS日本協議会)。
今回の予測では20年の半導体世界市場は前年比5.1%増の4331億4500万米ドル(約46兆4300億円、為替レートは1米ドル=107.2円)である。前回予測では3.3%増だったので、1.8ポイントの上方修正である。「20年の半導体市場は、新型コロナウイルスのパンデミックに伴い自動車業界をはじめとして世界経済悪化の影響を受けた。ただし5Gスマートフォン需要が増加していることに加え、感染対策としての在宅勤務やオンライン授業などの広がりによってPCやデータセンター関連機器の需要も増えた。また、こうしたライフスタイルの変化に伴う、いわゆる巣籠もり需要により、一部の民生機器市場も恩恵を受けた。結果として、世界経済に比べて半導体市場は堅調に推移していると考えられる」(WSTS日本協議会)。
なお円ベースの日本半導体市場は、20年は前年比2.1%減の約3兆8345億円という。この通りになると、円ベースの日本半導体市場は2年連続でマイナス成長である。21年は成長に反転し、前年比4.8%増で市場規模は約4兆0174億円になる、とWSTSは予測した。