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 セイコーエプソンは、外形寸法が2.5mm×2.0mm×0.74mmと小さい低位相ジッターの水晶発振器(SPXO)「SG2520シリーズ」を発売した(ニュースリリース)。差動信号出力に対応しており、LVDS出力品とLVPECL出力品を用意した。これまで同社は、基本波発振を使用することで位相ジッターを低く抑えた水晶発振器を複数製品化してきた。例えば、外形寸法が3.2mm×2.5mm×1.05mmの「SG3225シリーズ」や5.0mm×3.2mm×1.3mmの「SG5032シリーズ」などである。

2.5mm×2.0mmと小さい低位相ジッターの水晶発振器
2.5mm×2.0mmと小さい低位相ジッターの水晶発振器
セイコーエプソンの写真
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 今回の新製品は低い位相ジッター特性はそのままに小型化を図った。従来、最も小さかったSG3225シリーズと比べると、実装面積比で63%減、体積比で44%減を実現した。また、新製品(LVDS出力品)の位相ジッターは、156.25MHzのときに38fs(標準値)、391.77MHzのときに19fs(標準値)と低い。同社従来品であるSG3225シリーズ(LVDS出力品)は、156.25MHzのときに60fs(標準値)、391.77MHzのときに37fs(標準値)だった。

新製品と同社従来品の位相雑音(位相ジッター)の比較
新製品と同社従来品の位相雑音(位相ジッター)の比較
セイコーエプソンの資料
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 新製品の出力周波数範囲は25M~500MHzと高い。このため、データ伝送速度が400Gビット/秒や800Gビット/秒と高く、伝送可能な距離が80km程度と長い光通信モジュールにも適用できる。同社によると、「第5世代移動通信システム(5G)の導入で通信容量が増大しており、伝送信号に許容されるノイズが小さくなっている。このためネットワーク機器に搭載する光通信モジュールのクロック発生源(水晶発振器)には、高周波クロック信号出力が可能で、位相ジッターが低いことが求められるようになった。さらに光通信モジュールが小さくなっているため、クロック信号源の小型化も必須である」という。具体的な応用機器は、ネットワーク機器のほか、データセンター機器、FA機器、計測器、高速D-A/A-D変換器などである。

 HFF(High Frequency Fundamental)振動子と同社独自の小型水晶発振ICを組み合わせることで実現した。一般に水晶振動子は、水晶片を薄くすればするほど、高い周波数で振動する。しかし、全体を薄くすると、機械的強度を確保できなくなる。そこでHFF振動子では、フォトリソグラフィー技術を使って、振動する励振部だけ数μmと薄く加工することで、機械的強度を保ちながら高い周波数での振動を可能にした。いわゆる「逆メサ構造」である。HFF振動子を採用したため、最大500MHzのクロック信号出力が可能になった。低い位相ジッター特性と小型化については小型水晶発振ICの採用が大きく寄与したという。

 新製品の周波数許容偏差は製品によって異なるが、最も低い製品は同社従来品と同じ±20×10−6(±20ppm)である。このほかの主な仕様は下表の通り。出力周波数が212.5MHz以下の製品はすでに量産出荷を始めている。212.5M~500MHzの製品は、2021年3月に量産出荷を開始する予定である。価格は明らかにしていない。

新製品の主な仕様
新製品の主な仕様
セイコーエプソンの資料
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