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 ルネサス エレクトロニクスが、一般に「IP(Intellectual Property)コア」と呼ばれる設計済み回路ブロックの外販事業を強化する。従来、同社は他の半導体メーカーと同じく、設計結果をIC(チップ)として製造し販売する事業を行ってきた。約2年前の2018年9月に設計結果のIPコアを直接外販する事業を本格的に始めた*1。その約1年後の19年10月には外販するIPコアの種類を増やした*2。今回IPコアを使って競争力のあるICを設計するためのノウハウの提供に乗り出し、IPコア事業の強化を図ることにした。

ルネサスが提供するIPコアの例
ルネサスが提供するIPコアの例
現在、約80品種をそろえる。同社の表
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 先端プロセスの開発から手を引いて久しい同社が、生命線とも言える設計結果(すなわち、IPコア)を外販する理由を同社の矢田直樹氏(IoT・インフラ事業本部 コアIP開発統括部 技術ソリューション企画部 部長)は次のように説明した。「チップとして売るには、設計と製造に関連したコストを回収できる個数の製品に限定されてしまう。一方でデータを売るならば、設計に関連したコストを回収できればよいので、顧客の幅を広げられる。IPコア事業は半導体メーカーのルネサスにとって新たなチャンス」(同氏)。

 IPコア事業を展開する企業として最も知られているのは、先日、親会社がソフトバンクグループから米NVIDIA(エヌビディア)に代わった英Arm(アーム)だろう。Armの主力製品はスマートフォンのプロセッサーSoC(System on a Chip)やマイコン/MCU(Micro Control Unit)に集積されているCPU(Central Processing Unit)コアと呼ばれるIPコアである。Armほど規模は大きくないが、IPコア事業を展開する企業の数は世界中でかなり多い。設計ハウスと呼ばれるIC設計支援サービスを提供している中小規模の企業が、IPコアも提供することが少なくないためだ。すなわち、ルネサスのIPコア事業のライバルはごまんといる。

 競合に対する同社の優位性を矢田氏は次のように説明する。「我々はIPコアの設計力だけでなく、IPコアをベースにしてチップを設計するという半導体メーカーの技術やノウハウを蓄積している。それらをIPコアのユーザーに提供することで、ユーザーのチップ設計負荷を低減したり、チップの完成度を高めることができたりする」(同氏)。同社はチップ設計の技術やノウハウを「IPユーティリティ」と名付けて、IPコアユーザーに提供する。今回提供するIPユーティリティは全部で5種。(1)「アプリケーション・パッケージ」、(2)「アーリーアダプタ・キット」、(3)「IPコンフィグレーションツール」、(4)「製品検討向けTCAM FE-Lib」、(5)「ノイズ設計のコンサルティング」である。以下で、5つの概要を紹介する。

今回、5種の「IPユーティリティ」の提供を始める
今回、5種の「IPユーティリティ」の提供を始める
ルネサスのスライド
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