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 TDKは、新方式のCO2検出用ガスセンサーを開発した(ニュースリリース)。同社が新規に開発した「ダイレクトCO2検出方式」によって、小型、低消費電力、高精度測定の3つを同時に実現したという。バッテリー動作の小型デジタル機器や携帯型電子機器に新製品を搭載して、家庭やオフィス、自動車などにおいて空間CO2濃度を高い精度で測定できる。これで、例えば、「測定値に応じてHVAC(冷暖房空調設備)機器を細かく制御して自動的に換気するシステムを構築できるようになる」(同社)。新製品は、スマートホーム機器やスマートビルディング機器、自動車、産業機器、医療機器、IoTセンサー機器、ロボットなどに向ける。

MEMS方式のCO<sub>2</sub>検出用ガスセンサー
MEMS方式のCO2検出用ガスセンサー
(出所:TDK)
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 ダイレクトCO2検出方式では、センサーのパッケージの上部に設けた12個の空気穴から外気を取り込み、内蔵したMEMS素子でCO2の濃度を測定する。具体的な測定方法は明らかにしていないが、「CO2の分子がMEMS素子の表面に近づいてきたことで発生する物理的な変化を検出することでCO2の濃度を測定している。化学的な変化を検出して測定しているわけではない」(同社)と説明している。この方式の採用に加えて、測定動作のバックグラウンドでキャリブレーション(校正)機能を動作させることで±75ppm+(測定値の±3%)と高い測定精度を実現した。今回のセンサーは、外形寸法が5mm×5mm×1mmと小型の28端子LGAに封止している。消費電力は0.7mW(300秒に1回測定の場合)と低い。

 今回の新製品は、同社が2017年5月に買収した米InvenSense(インベンセンス)が開発した。InvenSenseのMEMSガスセンサーファミリー「SmartEnviro」に含まれ製品である。新製品の型番は「TCE-11101」。CO2ガスを検出するMEMS素子と、独自開発したASICを1つのパッケージに収めた。CO2濃度の測定範囲は400〜5万ppmと広い。応答時間は30秒。寿命は最短5年を保証する。外付けのホストマイコンとの接続用に400kHz動作のI2Cインターフェースを搭載した。電源電圧は+2.7〜3.3V。すでにサンプル出荷を始めている。一部のユーザーに向けた量産は2021年半ばに開始する予定。車載対応品も製品化する予定だが、量産開始時期は未定である。価格は明らかにしていない。

 TDKは、今回の新製品を搭載した評価キット「DK-11101」を用意している。USBインターフェースを搭載しているため、この評価キット単体でもCO2センサーを評価可能である。さらに、同社のMEMSセンサー開発プラットフォーム「SmartMotion」に今回の評価キットを接続すれば、6軸加速度センサーや気圧センサーなどの同社のほかのMEMSセンサーとともにセンサーハブを構成できる。

新製品を搭載した評価キット
新製品を搭載した評価キット
(出所:TDKの資料)
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 今後、InvenSenseはMEMSガスセンサー製品ファミリー「SmartEnviro」の品ぞろえを拡充する考えだ。すでに様々な化学物質(気体、ガス)の検出に向けたMEMSガスセンサーの開発を進めている。その中には、人間の呼気に含まれる化学物質を検出し、がんに罹患(りかん)しているか否かを判定するMEMSガスセンサーが含まれている。これが実用化されれば、「MEMSガスセンサーを搭載した電子機器でがんを手軽に診断できるようになる」(同社)としている。現時点では、実用化時期は未定という。