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 TDKは、最大ピーク出力が1kWと大きいスイッチング電源(AC-DCコンバーター)を開発した(ニュースリリース)。必要な電子部品を1枚のプリント基板に搭載した、いわゆる「基板型電源」である。外形寸法は、幅88mm×高さ44mm×奥行き183mmと小さい。同社によると「この外形寸法で1kWの最大ピーク出力を得たのは業界初」という。例えば、同社従来品は、ほぼ同じ外形寸法で最大ピーク出力は480Wだった。新製品は「動き始めるときに非常に大きな電力が必要なモーターやサーマルヘッドなどを搭載した電子機器に適している」(同社)。具体的な応用機器は、FAロボット機器や分析装置、プリンター、両替機/釣り銭機、アミューズメント機器などである。

 新製品の最大ピーク出力を2倍以上に高められた理由は2つある。1つは回路トポロジーである。同社従来品ではハードスイッチング方式のフォワードコンバーターを採用していたが、新製品ではソフトスイッチング方式の1つであるLLC共振コンバーターに変更した。もう1つは、最新のパワー半導体素子や受動部品を採用したことである。

最大ピーク出力が1kWと大きいスイッチング電源
最大ピーク出力が1kWと大きいスイッチング電源
TDKの写真
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 最大ピーク出力が大きなほかに、新製品には3つの特徴がある。1つ目は、「ベースプレート構造」を採用したことだ。基板型電源を金属製ベースプレートの上に載せた状態でユーザーに出荷する。電子機器の筐(きょう)体などに、このまま状態で取り付けられる。既存の基板型電源では、ユーザー側でスペーサー(支柱)や絶縁板を、電子機器の筐(きょう)体などとの間に入れて取り付けるのが一般的だった。強制空冷時の空気の対流経路を確保することと、絶縁破壊を防ぐことが必須だったからだ。今回の新製品では、放熱方法や構造を見直すことでスペーサーや絶縁板の挿入を不要にした。

ベースプレート構造を採用
ベースプレート構造を採用
TDKの資料
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 2つ目は、独立した補助電源出力を設けたことである。これまで、入力電圧を印加した状態で主出力を制御する「リモートON/OFFコントロール機能」を使う場合は、スイッチ回路を駆動する外部電源が必要だった。しかし新製品では、独立した補助電源出力を設けたため、これを使ってスイッチ回路を駆動できる。このため外部電源は不要だ。なお、補助電源出力の出力電圧は+5Vで、最大出力電流は0.3Aである。

独立した補助電源出力を用意
独立した補助電源出力を用意
TDKの資料
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 3つ目は、AV/情報/通信機器に向けた安全規格「IEC/UL/CSA/EN62368-1」に加えて、半導体電力変換装置に対する安全規格「IEC/EN62477-1(過電圧カテゴリーIII)」を取得したことである。IEC/EN62477-1(過電圧カテゴリーIII)を取得していれば、スイッチング電源の前段に入れる絶縁トランスを削除できる。このため、電子機器の外形寸法やコストの低減が可能になる。

「IEC/EN62477-1(過電圧カテゴリーIII)」規格にも準拠
「IEC/EN62477-1(過電圧カテゴリーIII)」規格にも準拠
TDKの資料
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 新製品の型名は「ZWP350-1000」である。連続時の最大出力は、自然空冷時に350W、強制空冷時に500W。新製品の変換効率は94%と高い。同社従来品は91%だった。動作温度範囲は−20~+70℃である。ただし自然空冷時は、動作温度が+50℃以上において出力ディレーティング(温度ディレーティング)が必要になる。定格出力がDC24V品と、DC30V品、DC36V品、DC48V品を用意した。新製品の主な仕様は下表の通りである。

新製品の主な仕様
新製品の主な仕様
TDKの資料
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 DC24V品とDC48V品は、2021年1月に量産出荷を開始する。DC30V品とDC36V品の量産出荷は2021年3月に始める予定だ。価格は明らかにしていない。