政府は2021年2月9日、同年9月のデジタル庁(仮称)の創設に向けたデジタル改革関連法案を閣議決定した。9日中にも国会に提出して成立を目指す。
閣議決定した法案は、「デジタル社会形成基本法案」「デジタル庁設置法案」「デジタル社会の形成を図るための関連法律の整備に関する法律案」「公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案」「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案」「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案」の6種の法案からなる。
「デジタル社会形成基本法案」は2000年に制定したIT基本法に代わるもので、IT基本法は廃止となる。データ利活用により発展するデジタル社会を目指すもので、デジタル社会の定義や基本理念のほか、デジタル庁の設置などについて定める。「デジタル庁設置法案」はデジタル庁の掌握事務や組織に関する事項を定める。いずれも2021年9月1日に施行予定。
「デジタル社会の形成を図るための関連法律の整備に関する法律案」では、デジタル社会形成基本法に基づき、デジタル社会の形成に関する施策を実施するための整備を行う。個人情報保護制度の見直しや、マイナンバーを活用した情報連携の拡大、押印不要とする手続き見直しなど計59本の法案が含まれる。
平井卓也デジタル改革相は2021年2月9日の閣議後会見で、「今回デジタルで国民の期待に応えられない事案が結構出てきた。(新型コロナウイルス感染対策の接触確認アプリである)COCOAはその最たる例」とした上で、「日本のデジタル推進のクオリティーを上げていかないといけないし、デジタル庁にかかる期待も大きい。これからが勝負の時と思う」と述べた。
COCOAについて2月上旬に明らかになった障害に関連して、デジタル庁の役割として「COCOAのような国民が利用するアプリを今後デジタル庁で運用含めてやっていくための人材も確保しないといけない。アプリは完成形がない。常にバージョンアップし続ける、そういうこと(の運用)ができる機能を持つのもデジタル庁だ」と述べた。