DMG森精機は、工作機械のテスト加工をコンピューターのシミュレーションで実施する「デジタルツインテストカット」サービスを開始した。工具や母材、治具はもちろん、工作機械本体の物理特性なども加味した上でシミュレーションし、現実のテストカットと同様に加工時の切削力や工具振動などの切削状態や面品位などを確認できる。実際の加工との誤差は±数%程度という。

図 デジタルツインテストカット
図 デジタルツインテストカット
実機でのテストカット(左)と、デジタルツインテストカットのイメージ(右)(出所:DMG森精機)
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 新機種開発で蓄積した加工シミュレーション技術を活用して、バーチャルでのテストカット技術を確立したという。同社取締役社長の森雅彦氏は2020年度の決算発表の質疑応答の際に同サービスについて触れ、「今いちばんわくわくしている技術。リアルで10日かかっていたワーク加工もバーチャルなら数時間でテストカットできる。既にリアルのテスト加工のかなりの部分をデジタルツインで置き換えられる」と語り、自信と期待をのぞかせた。

 テストカットは、ユーザー企業が工作機械を導入する前に、実機で加工精度や生産性を確認する作業。最適な工具の選定や加工工程なども検証する。DMG森精機は、世界で年間に約6000件のテストカットを実施しているが、実機を使うため機械の空き状況や、工具、母材、治具の手配などで、すぐに加工できなかったり、時間がかかったりする場合があった。

 デジタルツインテストカットは3Dモデルがあればすぐに実行でき、テストカット作業に要する時間を短縮できる。ほとんどをデジタルツインテストカットで検証し、最後に実加工して確認するといった使い方も可能となる。また、工具や素材、クーラントなどを使わず、消費電力も実際の工作機械に比べれば小さいため、同社では環境負荷低減につながるとしている。加工内容によるが、デジタルツインテストカットの結果の回答に要する日数の目安は、ワーク加工時間が10分の場合で2営業日、同1時間の場合で3営業日程度という。

 同社は、新型コロナ禍への対応もあり20年からさまざまなサービスや作業のデジタル化を推し進めている。デジタルツインテストカットは、出荷前の立ち会い検査をデジタル化した「デジタル立ち会い」、同社の伊賀グローバルソリューションセンタをバーチャルで再現した「デジタルツインショールーム」に続くデジタル対応となる。2021年2月から運用を始めており、同年中は5軸・複合加工機のテストカットを中心に実施していくという