AGCは、2021年2月から千葉工場(千葉県市原市)にLTE方式を利用した無線ネットワークを導入すると発表した。同工場は、20年12月に「自営等BWA」の無線局免許を取得しており、それを活用してプライベートLTEを構築する。有線のセンサーネットワークや人手に頼っていたセンシングデータの収集や、プラントの管理における無線化を進める。

千葉工場内の自営等BWAの基地局
千葉工場内の自営等BWAの基地局
高さ約30mのアンテナ塔と無線局端末装置から成る。(出所:AGC)
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 千葉工場では、基礎化学品や機能化学品、医農薬中間体・原体などの製品を製造している。現在、これらを製造する設備の管理データは、有線のセンサーやオペレーターによる巡回監視で収集している。同工場の敷地面積は66.6万m2におよび、特に巡回監視には多大な工数を要しているという。

 今回のプライベートLTE導入の狙いは、工場のデジタルトランスフォーメーション(DX)によるプラントの監視・管理の効率化にある。LTE方式のネットワークにより、安定かつセキュアな設備データの収集が期待できる他、巡回監視や点検作業の簡素化および効率化が期待できる。加えて、工場の設備データを一元的に「見える化」できるようになり、安全な生産活動につながるという。

スマートグラスも活用

 無線ネットワークを利用し、点検・保守作業におけるスマートグラスやタブレット端末の活用も進める。工場のどこからでもスマートグラスや手元のタブレット端末などから作業手順書や点検・画像記録にアクセスできるようになる。従って、作業の効率化やオペレーター間のコミュニケーションの円滑化、技術伝承の促進などが期待できる。

スマートグラスの活用のイメージ
スマートグラスの活用のイメージ
スマートグラスを活用してプラントオペレーター業務を支援する。(出所:AGC)
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 現在AGCは、デジタル技術を活用してビジネスプロセスを変革する「スマートAGC」を推進している。製造・研究開発・営業などのあらゆる業務でビッグデータを活用し、業務の効率化や新たな付加価値の提供を目指すもの。今回のプライベートLTE導入はその一環。今後は、22年をめどに鹿島工場でも同免許を取得。同様のシステムを導入するとともに、25年には一部のプラントで5G(第5世代移動通信システム)も運用して、化学品プラントのスマートファクトリー化を加速させる。