公正取引委員会は2021年2月17日、「デジタル広告分野の取引実態に関する最終報告書」を発表した。デジタル広告において、米Googleなどの巨大IT企業は広告主や広告仲介事業者、媒体社などの取引先事業者との関係で優越的な地位にある可能性がある。こうした情勢を鑑み、報告書では、各事業者や消費者への調査に基づき、巨大IT企業を巡る取引実態や問題点について指摘している。
公取委の報告書では、「対事業者」、「対消費者」、「媒体社間競争」の領域別に問題となり得る行為が分類された。対事業者は契約の設定・変更において「取引先に不利益を与える行為」などが盛り込まれた。公取委の調査で広告仲介事業者からは「プラットフォーム事業者の裁量により、一方的に契約を解除できる規定が盛り込まれている」との声が上がった。一方、対消費者は「利用目的を知らせずに個人情報を取得する行為」など、媒体社間競争は配信料の算定根拠などにおける「媒体社のコンテンツ提供にかかわる不透明性」などが、それぞれ記載されている。
公取委は、事業者の競争促進と消費者利益の向上を図るため、独禁法上問題となる行為に厳正に対処するほか、各国・地域の競争当局との意見交換や「国際競争ネットワーク(ICN)」などの場の活用を進めるとした。