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 米Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ、TI)の日本法人(日本TI)は2021年2月18日、事業戦略に関する記者会見を開催した。車載半導体の不足や米Apple(アップル)の自動車市場への参入などに対する考えを示し、日本市場における新しい取り組みを発表した。

 日本TI社長のSamuel Vicari(サミュエル・ヴィーカリ)氏は「特にこの1年は、日本の顧客は部品供給の持続体制に敏感になっていると感じている」と語った(図1)。新型コロナウイルスの感染拡大や自然災害、火災などによって、自動車メーカーや部品メーカーが製造の中断に追いこまれた経験が背景にあるという。

図1 日本TI社長のサミュエル・ヴィーカリ氏
図1 日本TI社長のサミュエル・ヴィーカリ氏
(出所:オンライン会見動画のキャプチャー)
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 最近では車載半導体の供給不足によって、自動車メーカー各社は減産を実施している。半導体の供給がひっ迫している最大の要因は、ファウンドリー(半導体製造の上流工程を担う企業)の製造ラインが混雑していることである。

 TIも一部製品の製造をファウンドリーに委託しているが、全体の8割程度は自社工場で生産しているとみられる。ヴィーカリ氏によると、「いくつかの部品では需要がひっ迫しているが顧客の要求には応えられている」という。

 TIは安定供給に向けて、1つの製品を複数の拠点で製造できる体制を強化している。75%の製品は複数の拠点から調達が可能で、「コロナ禍でも供給体制を継続できた」(同氏)。

 例えば、自動車関連の工場が多い東南アジアでは、感染拡大を防止する目的で各国政府は活動制限令を施行した。 これにより、自動車関連工場は操業を中断し、部品の供給が滞った。フィリピンやマレーシアに製造拠点を持つTIも例外ではなかったが、「中国や日本、台湾などの拠点からは部品供給を続けられた。柔軟性が役に立った」(同氏)という。

新参メーカーをシステム技術でサポート

 アップルを筆頭に、異業種からの自動車市場への参入が検討されている状況についてヴィーカリ氏は、「市場に変化が起きているときは新規のプレーヤーが入ってくるもの」と前向きに受け止めた。新参メーカーは「(部品を組み合わせる)システム技術を得意としていない」(同氏)ことから、リファレンスデザインの提供などを通してサポートしていく方針である。

 日本市場に向けた取り組みとしては、TIのウェブサイトでの製品購入を改善したことを発表(図2)。5万5000種類を超えるTI製品を日本語のページから購入でき、日本円での支払いを可能にした。日本円での支払いに対応したのは、「海外の半導体メーカーでは初めて」(日本TI)という。

図2 日本円での購入が可能に
図2 日本円での購入が可能に
TIは製品購入のウェブサイトを改善した。(出所:日本テキサス・インスツルメンツ)
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