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 伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロ)は、新たなArm Cortex-MコアMCU「STM32U5シリーズ」を発表した(ニュースリリース)。低消費電力をウリモノにするMCUである。同社はこれまで低消費電力のArm Cortex-MコアMCUとして「STM32L×シリーズ」を提供してきたが、今回は新たな低消費電力技術を採り入れて、シリーズ名も「L」ではなく「U」を使うことにした。新製品はウエアラブル機器や家庭向け健康機器、ホームオートメーション、産業用センサーなどに向くとする。

Cortex-MコアMCU「STM32」のポートフォリオ
Cortex-MコアMCU「STM32」のポートフォリオ
新製品の「STM32U5」は右下にある黄色のボックス。(出所:STMicroelectronics)
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 STM32U5は40nmプロセスで製造され、CPUは最大160MHz動作の「Arm Cortex-M33」である。メモリーは最大2Mバイトのフラッシュメモリーと786KバイトのSRAMを集積する。新製品の最大の特徴は低消費電力なことであり、例えば、3.3V電源で動作するときの消費電流は19μA/MHzと低い。シャットダウンモードでの消費電流は110nA、スタンバイモードでは300nA、16KバイトのSRAMを保持したStop 3 modeでは1.7μA、786KバイトのSRAMを保持したStop 2 modeでは6.6μAである。また、LPBAM(Low Power Background Autonomous Mode)と呼ぶ新しい動作モードがあり、ほとんどの回路をスリープにしながらDMA(Direct Memory Access)と周辺回路だけを稼働させて、最大で90%の低電力化が図れるという。

新しい動作モードのLPBAM(Low Power Background Autonomous Mode)の概要
新しい動作モードのLPBAM(Low Power Background Autonomous Mode)の概要
(出所:STMicroelectronics)
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 新製品にはCPUコアとメモリーに加えて、14ビットA-D変換器や12ビットA-D変換器、12ビットD-A変換器、多機能デジタルフィルター(MDF)、オーディオ・デジタル・フィルター(ADF)などの周辺回路、そして電源回路(DC-DCコンバーターやLDO)を集積する。また、フラッシュメモリーのゼロウエート読み出しをするための「ART Flash Accelerator」を備える。なお、集積したフラッシュメモリーのうち最大0.5Mバイトは、最大10万回の書き込み/読み出しサイクルに耐えるように設計されているという。

新製品の機能ブロック図
新製品の機能ブロック図
(出所:STMicroelectronics)
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 セキュリティー関連仕様が充実していることも新製品の特徴だとする。Cortex-M33が備えるセキュリティー技術「Arm TrustZone」をサポートしたり、セキュアーなファームウエア更新や改ざん検出が可能だったり、ハッシュ関数アクセラレーターや真の乱数発生器を備えたりする。さらに、新製品のうちセキュリティー機能を強化した「STM32U585」は、AES暗号化や公開鍵認証(PKA)用ハードウエアを備えており、DPA(差分電力解析)のサイドチャネル攻撃に対する耐性があるという。またSTM32U585では、ハードウエアの固有鍵によるセキュアーなデータ保存が可能である。

セキュリティー機能を強化
セキュリティー機能を強化
(出所:STMicroelectronics)
STMU5シリーズは2グループからなる
STMU5シリーズは2グループからなる
AESアクセラレーターなどのセキュリティー機能がない「STM32U575」(表の上行)と、それがある「STM32U585」(表の下行)である。(出所:STMicroelectronics)

 STM32U5のパッケージは、4.2mm×3.95mmの90ボールWLCSP、7mm×7mmの48ピンUFQFPN、7mm×7mmの48ピンLQFP、10mm×10mmの64ピンLQFP、14mm×14mmの100ピンLQFP、20mm×20mmの144ピンLQFP、7mm×7mmの132ボールUFBGA、7mm×7mmの169ボールUFBGAを用意している。量産開始は2021年9月を予定しており、現在はサンプル出荷中。大量購入時の価格は1個あたり3.60米ドルからである。