全樹脂電池を開発するAPBは2021年3月9日、電池に使う樹脂集電体をグンゼと三洋化成工業の3社で共同開発していることを公表した。機能性フィルムの開発でグンゼが培った樹脂成型加工技術を、既に集電体に活用しているという。「集電体はキーとなる部品のひとつだ。電池の量産に向けて共同研究を加速していく」(三洋化成工業 代表取締役社長の安藤孝夫氏)。APBが開発する全樹脂電池は、2021年10月に量産を開始する予定であることも明らかになった。

 全樹脂電池は、電極を含めてほぼすべてを樹脂で形成するLi(リチウム)イオン2次電池(LIB)である。APB代表取締役CEOの堀江英明氏が考案した。

 集電体は電気を取り出す端子であり、一般的なLIBでは銅やアルミを使う一方、全樹脂電池は樹脂集電体を用いる。グンゼのフィルム製造技術をベースにして、7年前から共同開発していた。基礎となった技術として、「電子部品事業で培った静電容量方式のタッチパネルの技術」(グンゼ 代表取締役社長の廣地厚氏)がある。さらに、異種材料を共押出しして多層化する製膜技術も応用しているという。集電体の量産拠点は滋賀県のグンゼの工場である。

共同開発する樹脂集電体
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共同開発する樹脂集電体
(出所:オンライン会見の動画をキャプチャー)

 全樹脂電池は21年10月に福井県のAPBの工場で量産を開始する予定で、「チューニングなどの必要はあるが、基本的には量産化の準備が整っている」(安藤氏)とする。グンゼが提供する集電体の他に、三洋化成の皮膜活物質、出資企業であるJFEケミカルのハードカーボン、帝人のカーボンナノファイバーも活用する。全樹脂電池の採用の第1弾は、川崎重工の無人潜水機(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)だと明かした。続いて「欧州向けの風力発電用の蓄電池」(安藤氏)も手掛けるという。