ソフトバンクは2021年3月15日、次世代電池の性能を検証する「ソフトバンク次世代電池Lab.」を同年6月に設立すると発表した。国内外のメーカーから入手した次世代電池セルの性能評価や、要素技術の検証などに利用していくという。次世代通信プラットフォームのひとつ、空飛ぶ基地局「HAPS(High Altitude Platform Station)」の2023年の実用化を目指す同社は、今回の拠点設立を機に軽量電池の開発を加速させる。

ソフトバンク次世代電池Lab.が入居する建物
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ソフトバンク次世代電池Lab.が入居する建物
環境試験機メーカー エスペックの「バッテリー安全認証センター」内に新設する。所在地は宇都宮市。運用開始は同年6月1日(予定)。(出所:ソフトバンクのプレスリリースより)

 新たに設置するソフトバンク次世代電池Lab.は、自社で電池の性能評価を実施する拠点になる。同社はこれまでは第三者機関に電池分析を依頼してきた。「外部に依頼するよりも短期間に性能テストができる。入手から検証、フィードバックのサイクルを早くたくさん回せるようになる」(先端技術開発本部 先端技術研究室 室長の西山浩司氏)。もうひとつの利点は、電池メーカーや研究機関、大学との協業数の増加が見込める点だ。「国内外の電池分析のハブ拠点を狙う。電池のノウハウを蓄積していく」と西山氏は強調する。

 拠点新設に関する発表会では、同社の次世代電池開発の方向性も示した。「質量エネルギー密度(Wh/kg)の向上が最優先事項だ。サイクル寿命は、それほどには重視していない」(同氏)。こうした発言の背景にあるのがHAPSだ。成層圏を飛び、インターネット環境が整っていない地域にLTEや5G(第5世代移動通信システム)などの移動通信サービスを提供するHAPSは、機体の軽さが肝となるためである。一方のサイクル寿命については、HAPSは数カ月間から半年間のフライトで地上に戻ってくるため200回程度あれば十分だという。

 同社によると、HAPS搭載用電池に要求される質量エネルギー密度は最低でも400Wh/kg。現行のリチウムイオン2次電池(LIB)では、高くても250Wh/kg程度のため、非常に野心的な目標となる。「高ければ高いほどよく、1000Wh/kgも狙いたい」(先端技術開発本部 先端技術研究室 担当部長の齊藤貴也氏)。

 この数値の実現に当たって、同社はまず、LIBの負極を従来の炭素からリチウム金属に置き換える。これにより、質量エネルギー密度の400~500Wh/kg程度までの向上を見込めるとする。さらにその後、正極活物質に有機物や空気を用いたり、集電体を軽量化したりすることで、質量エネルギー密度600~1000Wh/kgを目指す。

ソフトバンクの次世代電池開発の目標
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ソフトバンクの次世代電池開発の目標
(出所:ソフトバンク)