2021年3月25日にスタートした東京2020オリンピック聖火リレーで、聖火が消えた原因が明らかになった。大会組織委員会によれば、ガスカートリッジの中途半端なねじ込みによる燃料供給不足だった。聖火リレートーチは1時間降雨量が50mm、風速が17m/秒でも聖火が消えないように造られている。ところが、悪天候ではないのにリレー中に聖火が消える事象が相次ぎ、関係者は衝撃を受けていた。
聖火リレートーチには本体下部から直径ほぼ30mmの細長いガスカートリッジを差し込み、カートリッジ先端のおねじを上部にある燃焼ユニットのめねじにねじ込む。めねじ部中心の突起によってカートリッジのバルブが開き、燃焼ユニットの逆止弁を通ってガスが上昇して、ユニット先端の燃焼部位に流れ出る仕組みだ(図1、2)。
ガスを出したり止めたりするための、外部から操作するスイッチや弁はない。そのため、ランナーが走る直前にカートリッジをねじ込み、ガスを出して火を付けることになっている。カートリッジは本体下部から差し込むと完全に中に入って隠れるので、専用の工具を差し入れてカートリッジの下部をつかんで回す(図3)。このねじ込みが不十分である場合、ガスが燃焼ユニットに十分に供給されなくなってしまう。
大会組織委員会は「今後はカートリッジのねじ込みを徹底する。聖火リレートーチのメーカーにもケチをつけてしまい、申し訳ない思いだ」と話している。