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 兵庫県加古川市は、地上デジタル放送波を利用した防災情報の伝達手段を構築すると発表した。加古川市の計画に読売テレビ放送が協力することで合意し、加古川市と読売テレビ放送が2021年4月7日に契約を締結した。自治体の防災情報を、地上デジタルテレビ放送の電波を使って配信することで合意し、契約を締結するのは、全国で初めてという。

締結式の模様
締結式の模様
(写真提供:加古川市)
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 加古川市が発信する避難勧告などの防災情報を、読売テレビの放送波を使って、加古川市内の屋外拡声器や専用の戸別受信機などに配信する。公共施設(避難所など)の遠隔解錠なども行う。加古川市は、2021年10月の情報配信開始を目指す。また、2021年度中には町内会など災害時の支援組織に戸別受信機を配布する予定。

 自治体が防災情報を一斉に発信する方法としては防災行政無線を使い屋外拡声器から音で情報を伝えるのが一般的である。しかし、台風などの場合は風雨の音で屋内では屋外拡声器の音声が聞こえないという問題がある。また、防災行政無線の無線設備の維持・更新に多額の費用がかかるなどの問題点が指摘されている。専用の戸別受信機を利用することで屋内で音声が聞こえにくいという問題の解消が期待できる。地上デジタルテレビ放送の場合、ほとんどの家庭で屋内アンテナ配線まで装備されており、受信環境が整っているという利点もある。

 この情報配信は、放送波の隙間を利用して情報を送信する「IPDC」技術を採用して行う。必要な時に、地上デジタルテレビ放送の放送帯域で送信できるデータ量の約1%の200kbpsを使って、加古川市の防災情報配信を行うもので、放送そのものには影響ないという。読売テレビでは、今後も放送エリア内の自治体の希望があれば、防災情報配信に協力していく方針である。

IPDCを利用した情報伝達手段の概要
IPDCを利用した情報伝達手段の概要
(締結式当日に示された加古川市の資料から)
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 加古川市は、2021年度に消防庁が実施する実証事業に参加する。この事業は、放送波を用いた伝達手段(地上デジタル放送を応用したIPDC型データ放送による防災情報伝達手段)について、社会実装に向けて技術的ガイドラインを作成するための実証実験を行うというもの。加古川市は、「実証実験における評価を踏まえて、2022年度以降のさらなる技術の有効活用の可能性を検討する」という方針である。

 これまで加古川市は、V-Lowマルチメディア放送を利用した防災情報の配信を行ってきた。しかし、当該事業会社の業務撤退により、V-Low波ではなく地上デジタル放送波を利用する形で、その業務を読売テレビが引き継ぐことになった。