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 NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2021年4月8日、欧州が中心となり開発するデータ流通基盤「GAIA-X(ガイアエックス)」に相互接続できるプロトタイプ機能を開発したと発表した。21年度中をめどに商用化する。GAIA-Xの運用が本格化する21年末以降、GAIA-Xに準拠していない日本企業は、欧州企業とデータのやりとりができなくなる可能性がある。NTTコムは対応を迫られる日本企業のデータ流通を手助けする。

 GAIA-Xは、ドイツやフランスが中心となって構築を進める、データを安全に流通できるようにする基盤だ。データ提供者の意思でデータの開示範囲や用途を決める権利「データ主権」の保護を目的にしている。「IDSコネクター」と呼ばれる通信ソフトウエアが法律や契約に基づきデータの開示範囲を変えられる点が特徴になる。21年末にGAIA-Xの「バージョン1」がリリースされ、運用が本格化する見通し。

NTTコムはGAIA-X対応を支援する
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NTTコムはGAIA-X対応を支援する
(出所:NTTコム)

 GAIA-Xを設計する団体には現在、約350の企業や団体が参加している。米Microsoft(マイクロソフト)や中国アリババ集団も含まれる。将来的に欧州に限らず、世界の標準的なデータ管理方法になる可能性がある。今後、機密性の高いデータをやり取りするにはGAIA-Xへの対応が必須だ。

 企業が自力でGAIA-Xに対応する場合、IDSコネクターを実装する特殊技術やシステムの改修が必要になる。そこでNTTコムは、企業が簡単にデータをやりとりできるように、GAIA-X対応に必須のIDSコネクターを肩代わりする機能を開発した。NTTコムが商用化済みの、秘匿性の高いデータを流通させる仕組み「DATA Trust」とGAIA-Xを連携させ、企業がNTTコムの基盤にアクセスすることで対応できるようにした。

 秘匿性の高いデータの1つが工場の生産に関わる情報だ。従来は開示していなかった生産情報でも、今後は脱炭素化など環境対応に向けてサプライチェーン全体で共有する必要性が高まっている。特に欧州では製品に関わるCO2排出量を原料の調達から製品の廃棄まで含めて評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)の方式で評価する動きが強まっている。LCAには原材料や使用エネルギーに関する情報が欠かせない。

 同社はこのたび開発したプロトタイプを使い、世界で初めてIDSコネクターを使った国際相互接続に成功したという。スイスの研究所においてドローン製造で発生するCO2排出量を算定し、日本では自身が発注したドローンに関わるCO2排出量のみを見えるようにした。CO2の排出量が少ない生産ラインでの製造を促すなど、脱炭素化に役立つと期待される。

 商用化の際は、初期の顧客は自動車業界にかかわる完成車メーカーや素材メーカーになる見込み。NTTコム スマートファクトリー推進室担当部長の境野哲氏は「電気自動車が普及するとバッテリーをリユースするかリサイクルするか判断するためにもGAIA-Xを通じてCO2排出量に関する詳細なデータをやり取りする必要があるだろう」と話す。