ロビット(東京・板橋)は、工業製品の外観検査工程向けに人工知能(AI)搭載ロボット「TESRAY S」シリーズを発売した(図1)。照明とカメラを備えたロボットアームがワーク表面を撮影し、その画像からAIが欠陥を見つけ出す。AIアルゴリズムの工夫により、3次元形状のワークの微細な異常や、寸法では判断できない官能的な検査が可能。既に、大手自動車部品メーカーの本番ラインに初号機を導入し、外観検査工程の自動化を実現しているという。

図1:「TESRAY S」シリーズの外観
図1:「TESRAY S」シリーズの外観
(出所:ロビット)
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 新シリーズは、樹脂/金属/繊維などの素材、射出成形/プレス/めっき/塗装などの製法・加工方法を問わず、さまざまな製品の外観検査に対応する。ラメ加工のように製品ごとに模様が異なる場合や、光の乱反射の影響を受けやすい透明な部品も検査できる(図2)。

図2:樹脂部品を検査しているところ
図2:樹脂部品を検査しているところ
パターン照明を照射した上で画像を撮影して欠陥を見つけ出す(出所:日経クロステック)
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 照明とカメラを搭載した6軸のロボットアームは独自開発した(図3)。カメラを中心に旋回するように動く軸を設けるなど、外観検査向けに特異点やケーブルの取り回しによる可動領域の制限を減らしているという。アームの自由度は12軸まで追加でき、検査範囲のカスタマイズが可能。検査の見逃しが起きやすいリブやR部、意匠部上の異常に対しても、安定した検出精度を発揮するという。

図3:カメラと照明を搭載したロボットアーム
図3:カメラと照明を搭載したロボットアーム
外観検査用に独自開発した(出所:日経クロステック)
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 AIアルゴリズムについては、自動車部品の検査品質を想定し、極小サイズの異常を検出できるようにした(図4)。さらに、人による検査で“目についたら異常”と判断するような、曖昧な検査基準にも対応している。

 「人が検査するより速い」(同社)という処理の速さも特徴だ。人による目視検査では1個当たり30~40秒ほどかかるワーク、TESRAY Sは8~9秒ほど検査できる。AI用の半導体などの進化もあって、従来機に比べて検査速度が大幅に向上しているという。

 誰でもロボットのティーチング操作ができるように直感的なGUIを採用しており、多品種少ロット生産でティーチングが頻繁に発生する現場にも導入しやすい。その他、工場内の既存の生産設備との連動、前後工程とのスムーズなつなぎ込みを考慮したカスタマイズも可能だ。

図4:異常検出時の操作画面例
図4:異常検出時の操作画面例
(出所:ロビット)
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