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 富士フイルムと国立がん研究センターは、医師など医療従事者が手軽に人工知能(AI)を活用した技術開発に取り組める研究基盤システムを開発した。プログラミングの知識がなくても利用でき、研究の人材不足を補う。研究の効率化や作業時間の短縮で、AIを活用した画像診断支援技術の開発の加速が見込める。

 富士フイルムが研究用のシステムとして2021年度中の製品化を目指す。富士フイルムホールディングス(HD)の次期社長で富士フイルムの後藤禎一取締役は「メディカルシステム事業では今後、AIと診断装置をつなぎ合わせてバージョンアップを図っていきたい。今回の共同開発は肝煎りプロジェクトの1つだ」と話す。

開発した研究基盤システムのコンセプト
開発した研究基盤システムのコンセプト
(出所:富士フイルム)
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 今回のシステムは国立がん研究センターが開発したアノテーション用ツールをベースに、富士フイルムが簡単にAIエンジンを作成できる機能などを追加したり操作性を高めたりしたもの。AIを活用した技術開発の全ての工程を支援するが、特に医師が医用画像にアノテーションを実施する負荷を減らす。

 アノテーションは医用画像に臓器や腫瘍の領域を囲むなど「正解」を示す作業を指し、学習データを構築するために実施する。「これまでのアノテーションツールの多くは工学研究者の目線で開発されており、臨床現場が利用するものとして必ずしも最適とはいえなかった」と国立がん研究センター研究所 医療AI研究開発分野の小林和馬研究員は話す。開発した研究基盤システムは臨床現場の画像診断の工程に近い操作感で効率的かつ直観的に画像の閲覧とアノテーションを実施できるという。

システムを使い医用画像にAIエンジンを適用した結果の画面
システムを使い医用画像にAIエンジンを適用した結果の画面
(出所:富士フイルム)
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 作業時間を短縮するため、アノテーション支援機能もつけた。臓器や腫瘍の領域を抽出する際にAIが支援する。研究基盤システムはコンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)の画像など標準規格のフォーマットを満たしたものであれば幅広く対応し、医用画像を撮影した装置のメーカーは問わない。