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 野村総合研究所(NRI)は2021年4月28日、同社が事務局を務める「通貨と銀行の将来を考える研究会」の中間報告の要約を公表した。今回の報告では、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の設計に関して2つのメッセージを出した。

 1つは、CBDCの導入に向けた目的意識に関するメッセージだ。「CBDCのメリットとコストを評価する際に、支払い・決済の安全性や効率性の向上だけに着目することは、ミスリーディングな意味合いを持ちうる」という。利便性の向上のみであれば、既に民間事業者が提供しているキャッシュレス決済の仕組みを中央銀行が支援すれば事足りるため、十分な目的にはならない。CBDC導入に当たっては技術やサービスの競争、情報の利活用、国際競争の観点でのメリットが必要とした。

 もう1つは、「現金の代替」というCBDCの位置づけに関するメッセージだ。「CBDCに現金代替の役割を担わせるかどうかには、再考の余地も存在する」という。2020年10月に日本銀行が発表した「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」では、CBDCが現金と並ぶ決済手段となることを期待している。

 ただ、これまで現金が担ってきた個人間の支払いやオフラインでのペイメントの機能を満たすには、技術面やコスト面の課題がある。CBDCを最初から現金の代替と位置づけず、デジタル化の意義を発揮しやすく、情報の利活用に理解を得やすい企業間の支払いや決済を先行的に対象とする選択肢もあるとした。野村総合研究所の石川純子金融デジタルビジネスリサーチ部主任研究員は、「中央銀行が指針を示すことで民間事業者は動きやすくなる。今後はより具体的な動きが期待される」と話す。

 研究会は日本におけるCBDCの課題と展望を示すことを目的とし、2020年6月から2021年3月にかけて計10回開催。海外と日本の比較や、技術、制度面、さらに民間サービスと中央銀行の役割分担などの視点で議論した。