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 次世代不揮発性メモリーの埋め込み型MRAM(embeded MagnetoRegistive Ramdom Access Memory:eMRAM)のマイコン(Micro Contoller Unit:MCU)への採用が急速に進んでいる。従来の埋め込み型フラッシュメモリー(eFlash)を代替する動きで、今後は爆発的にeMRAMの市場が拡大しそうだ。

 台湾TSMCは2021年4月26~30日にオンラインで開催された磁性体関連の国際会議「INTERMAG 21」で講演し、同社の22nm世代プロセス「N22 Ultra-Low Leakage(ULL)」を用いた埋め込み型MRAMを利用する顧客が3社以上いることを明らかにした。さらに、TSMCが開発中の「N16」プロセスのeMRAMについても「MCUへの実装を進めている顧客が複数社いる」とした。

TSMCのN22 ULLプロセスによるeMRAMのマクロ
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TSMCのN22 ULLプロセスによるeMRAMのマクロ
(写真:IEDM 2019)

あの超低消費電流MCUもeFlashをeMRAMに切り替え

 TSMCはINTERMAG 21での講演で、N22 ULLプロセスでのeMRAMを実装に関して、「複数社が2020年にテープアウト(設計完了、または製造開始)済み。2021年にはさらに多くがテープアウトする見通し」(TSMC)と述べた。

TSMCが開発中のN16プロセスによるeMRAMのマクロとその仕様
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TSMCが開発中のN16プロセスによるeMRAMのマクロとその仕様
(写真:IEDM 2020)

 しかもTSMCはそのうちの1社として米Ambiq Microを挙げた。Ambiqは2020年9月に同社の32ビットマイコン「Apollo4」にTSMCのN22 ULLプロセスによるeMRAMを実装したことを公表済みだ。

Ambiq Microの「Apollo4」搭載の参照ボード
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Ambiq Microの「Apollo4」搭載の参照ボード
(写真:Ambiq)

 Apolloシリーズは、英Armの浮動小数点演算が可能なCPUコア「Cortex-M4F」を実装した高性能MCUながら、サブスレッショルド領域でトランジスタを“駆動”する技術「SPOT(Subthreshold Power Optimized Technology)」で圧倒的な超低消費電力を実現したことで知られる。例えば、Apollo4の前世代のApollo3は、単位動作周波数当たりの消費電流が6μA/MHzで、競合他社のMCUの1/10前後と非常に低い。Apollo4ではそれをさらに同3μ~4μA/MHzと大幅に低減した。Apollo3までは埋め込み型フラッシュメモリー(eFlash)を採用していた。今回それをeMRAM(容量は2Mバイト)に置き換えた格好である。2021年第2四半期に量産開始するという。

 米Gyrfalcon Technology(GTI)も同社のAI(人工知能)チップ「Lightspeeur 2802M」にTSMCの22nm世代プロセスのMRAMを実装し、参照デザインボードを開発済みだ。9.9TOPS/W(Tera Operations Per Second/Watt)と省エネルギー性能が非常に高い。「(40Mバイトという)大容量オンチップメモリーを搭載しているのに消費電力を抑制できている」(GTI)。特に、メモリーの読み出しについては、読み出し時間は10nsと短く、その省エネルギー性能は30TOPS/Wに相当するという。