英BBCなどの報道によれば、日立製作所が製作した英国都市間高速鉄道計画(IEP)向け車両「Class 800」シリーズの複数両で亀裂が見つかり、2021年5月9日までに同車両を使用している鉄道会社が安全確認のため運行を休止した。英国運輸当局が鉄道会社に代替輸送手段の検討を要請し、日立製作所に対しては検査計画と長期的な修理計画の策定を求めている。
日立製作所は、亀裂が生じた場所は「車体下部にある『リフティングポイント』と呼ばれるアルミニウム合金製部品」と説明している。リフティングポイントは車両の定期点検などの際、車両保守基地で車体を持ち上げて台車から外す時などに使われ、「運行時には使用されない」(同社)部品という。
Class 800シリーズは、電気・ディーゼル両用の「Class 800」と、電車の「Class 801」などがあり、15年から19年にかけて製造された。日立独自の鉄道車両製造技術「A-train」による車両で、アルミニウム合金製。この車両構体用のアルミ合金押出材は神戸製鋼所が納入した。17年10月に明らかになった、神戸製鋼の製品データ偽装(検査証明書のデータ書き換え)の対象製品だったとされる。
導入会社はイングランド西部・南西部、ウェールズ南部のGreat Western Railway(GWR、グレート・ウェスタン・レールウェイ)、ロンドンから北方へ向かうHull Trains(ハルトレインズ)、北東イングランド・スコットランドへの東海岸本線を運営するLondon North Eastern Railway(LNER、ロンドン・ノース・イースタン・レールウェイ)、イングランド北部とスコットランドのTransPennine Express(トランスペナイン・エクスプレス)。