米Google(グーグル)は2021年5月18日(現地時間)に年次カンファレンス「Google I/O 2021」を開催し、AI(人工知能)や3次元(3D)ディスプレー技術を使って遠隔地の人とあたかも対面しているかのように会話できる技術「Project Starline」を発表した。2021年後半に、医療やメディア企業などへのトライアル導入を始めるという。
Project Starlineはメガネやヘッドセットを使わずに利用できる。GoogleのSundar Pichai(スンダー・ピチャイ)CEO(最高経営責任者)は「向かい合って座っている感覚に限りなく近いものだ。目を合わせることもできる。リモートコラボレーションの限界を広げていく」と自信を見せた。
キーとなる技術は大きく3つだ。1つ目はAIによる人物像の3Dスキャンである。高解像度カメラの映像と深度センサーで取得した情報を、コンピュータービジョンと呼ぶAI技術を利用してリアルタイムに3Dとしてデータ化する。
3Dのデータは膨大であり、それをリアルタイムで圧縮し、低遅延で送信する技術も必要だ。それが2つ目のキー技術だ。そして最後の3つ目が、送信先で立体映像を再現する3Dディスプレーである。映像だけでなく、空間オーディオの技術も活用して臨場感を出している。
現在、グーグルのベイエリア(シリコンバレー)、ニューヨーク、シアトルのオフィスの社員をつないでテストを重ねている。応用先として、医療やメディアを想定しており、それらの企業から活用サービスについてのフィードバックを得ているという。21年後半にそれらの分野の企業にトライアル導入する予定だという。