ルネサス エレクトロニクスは、AI推論やビジョン処理に向けたマイクロプロセッサー(MPU)の新製品「RZ/V2L」を2021年5月19日に発売した*1。同社が20年6月に発表した「RZ/V2M」のエントリークラス製品である。監視カメラなどの産業機器や、家電などの民生機器に向ける。

*1 ニュースリリース
新製品と応用イメージ
新製品と応用イメージ
(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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 今回発売のRZ/V2Lは20年6月発表のRZ/V2Mと同じ「RZ/Vシリーズ」の製品。RZ/Vシリーズは、同社独自のAI推論処理アクセラレーター「DRP-AI」*2を集積することが最大の特徴である。DRP-AIは、同社独自の動的再構成可能な汎用アクセラレーター「DRP:Dynamically Reconfigurable Processor」と、同社独自の並列処理可能な積和演算回路「AI-MAC(Multiply Accumulation)」からなる。DRPによる10倍の高速化、AI-MACによる10倍の高速化をかけ合わせて、DRP-AIではCPUコアでのソフトウエア処理に比べて100倍の高速化を達成できるという。

*2 関連記事:ルネサスの推論速度100倍MPU、独自の高位合成で苦も無くGPU超え

 新製品は、同社の産業用Linux機器向けMPU「RZ/G2L」*3にDRP-AIを加えたもので、RZ/G2Lとパッケージ端子を含めて互換性がある。「RZ/G2Lユーザーは、RZ/V2Lにアップグレードすることにより、同一のシステム構成で、低い移行コストでAI推論処理機能を追加できる」(同社)。

*3 関連記事:「産業機器のAI化を促進」、ルネサスがArm MPUにエントリー製品
新製品と既存製品の主な仕様
新製品と既存製品の主な仕様
今回の新製品「RZ/V2L」は、産業用Linux機器向けMPU「RZ/G2L」にAI推論処理アクセラレーター「DRP-AI」を加えたものである。(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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 RZ/V2LはCPUコアとして、Arm Cortex-A55を1つまたは2つ、さらにArm Cortex-M33を集積している。DRP-AIの性能は1TOPS/Wクラスで、TinyYOLOv2プログラム実行時に28フレーム/秒の処理速度を得られるという。専用回路のISP(Image Signal Processor)は搭載していないが、DRP上にISP機能を実装することができる。フルHD解像度までの画像を処理可能という。DRP-AIではAI推論とISP機能による画像処理(色補正やノイズリダクションなど)の両方を実質的に並列実行できるため、外付けのISPなしでPOS端末やロボット掃除機などのビジョンAI処理を実現できるとする。

新製品の機能ブロック図
新製品の機能ブロック図
(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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 このほか、RZ/V2Lは、3次元GPUコア「Arm Mali-G31」やH.264対応のビデオコーデック、16ビットDDR3L/DDR4インターフェース、CANインターフェースなどを集積する。メモリーECC(Error Checking and Correction)機能も備える。パッケージは15mm角と21mm角のBGA。新製品が載ったSMARC v2.1モジュールボードとキャリアボードを組み合わせた評価キットを用意する。

新製品の評価キット
新製品の評価キット
(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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