デロイトトーマツグループは2021年5月25日、人工知能(AI)に関する専門研究組織「Deloitte AI Institute」(DAII)を2021年6月1日に新設すると発表した。企業向けの監査やコンサルティング、リスク可視化といったサービスにAIやビッグデータ分析を活用できる社員で構成する。顧客企業の経営や組織におけるAI活用の研究を推進する目的だ。

 「デロイトトーマツのAIの専門家を集めた少数精鋭チームだ」。デロイトトーマツのパートナーで、DAIIの所長を務める森正弥氏は新組織をこう話す。同社では会計監査や需要予測・販売予測、資産運用、不正検知、M&A(合併・買収)支援といった分野でAIアプリケーションを活用してきた。DAIIは企業戦略やDX(デジタルトランスフォーメーション)におけるAI活用、運用支援といったノウハウのある社員200人を集めた。「兼務の形が多い」と森所長は話す。

 狙いは、同社の事業分野にAI活用の面で横串を通すことにある。顧客企業がAIで経営や組織を変えていく場合は、デロイトトーマツ内でさまざまな部門が連携する必要があるためだ。

 例えば「バリューチェーンをAI活用で改善していきたい」という企業であれば、スタートアップとの提携や企業の買収などの選択肢がある。さらにそれに伴って、自社の業務プロセスを変えたり社内でAI人材を育成したりすることが必要になる。DAII設置により、グループ内で連携しやすくして、多岐にわたる顧客のニーズに応える体制をつくる。

 デロイトトーマツが所属するデロイトの米国ファームでは、2020年にすでにDAIIを設置した。カナダや英国、ドイツ、中国といった各拠点にもDAIIがある。各拠点合わせて約6000人いるAI専門家の知識を共有することで、日本の顧客に向けたサービス向上と効率化を図る。