スウェーデンの工科大学であるChalmers University of Technologyの研究者は、コンクリートを充放電可能な電池「Rechargeable Concrete Battery(コンクリート2次電池)」にする技術を開発した 論文 。技術的にはまだ課題があるようだが、今後の性能向上次第ではビル全体が巨大な2次電池になって、大容量の非常用電源などになる可能性がでてきた。同大学では別の研究者が、炭素強化繊維を2次電池にした「構造体電池」を発表して間もない。さまざまな構造材料に電池のような機能性を持たせる試みが盛んになっているようだ。

 このコンクリート2次電池は、正負極とセパレーターがいずれもモルタルと呼ばれる、砂を多く含んで多孔質になったコンクリートから成る。ただし、全固体電池というわけではない。セパレーターのモルタルにはイオン交換樹脂を約15重量%ほど加えたうえで、水酸化カリウム(KOH)と水酸化リチウム(LiOH)の水溶液を含浸させて利用するからである。

コンクリート2次電池の構造(左)と、利用のイメージ(右)
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コンクリート2次電池の構造(左)と、利用のイメージ(右)
(図:Yen-Strandqvist/Chalmers University of Technology)

 正極活物質はニッケル(Ni)およびその水酸化物 Ni(OH)2、負極活物質は鉄(Fe)とその水酸化物 Fe(OH)2である。これだけでは導電性が低いため、導電助剤としてカーボンファイバー(CF)を0.5重量%前後加える。集電体にはメッシュ状のCFを使うが、正極側ではNi、負極側ではFeをCFメッシュにめっきして利用する。

 電解液にLiイオンはあるものの、電池としてはいわゆるLiイオン2次電池(LIB)ではなく、強いて言えば「水酸化物イオン(OH)2次電池」となる。これはコンクリートをアルカリ性に保つための制約かもしれない。コンクリートは本来pHが12以上のアルカリ性で、pHが中性に傾くとコンクリート自体や鉄筋の劣化が急速に進むのである。