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 住友商事と東北大学、無人機管制システムの米OneSky Systems(ワンスカイシステムズ)は2021年6月2日、多数のドローンの最適航路を量子コンピューターで計算する実証実験を開始したと発表した。多数のドローンが普及する30年代以降の社会を視野に入れている。実験では、荷物配送用の小型ドローンや有人サイズの大型ドローンが、建物や他のドローンとの衝突を避けながら効率的に目的地へたどり着ける航路・ダイヤをシミュレーションで求める。

多数のドローンが都市部を移動するイメージ
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多数のドローンが都市部を移動するイメージ
(出所:住友商事)

 各社の分担は以下の通り。住友商事は、実験の企画・運営と、シミュレーション条件を設定する。シミュレーション条件には、各ドローンの飛行性能や目的地、積載内容などの基本項目のほかに、気候変動や緊急事態といったドローンの安定飛行を揺るがす要素も入れる。シミュレーションで扱う具体的なドローンの台数は公開していないが、ドローンが飛行する都市規模は「東京やシンガポールといった一般的な大都市」(住友商事)を想定しているという。

 ワンスカイシステムズは、同様にドローンのシミュレーション条件を作成する以外に、各ドローンが飛行する航路候補もつくる。ワンスカイシステムズは、衛星・航空機シミュレーションソフトウエアの大手開発企業、米Analytical Graphics(アナリティカル・グラフィクス)の関連会社であり、軌道シミュレーションの強みを生かす。

 東北大学は、作成されたシミュレーション条件・航路候補を基に、量子アニーリング方式の量子コンピューターによって最適な経路とダイヤを計算する。一般に量子アニーリングは、組み合わせ最適化問題を古典的なコンピューターよりも短時間に解ける可能性が高い。今回の実験のように、多数のドローンが複雑な条件で飛行するという問題にその特長を利用する。量子アニーリングマシンで得られた出力結果をワンスカイシステムズがシミュレーションし、良好な飛行ができているかを確認する。

 住友商事によれば、実験は21年6月から同年12月まで実施するという。同社は20年4月にワンスカイシステムズとの協業を発表し、21年3月には量子コンピューターの利活用に取り組む「Quantum Transformation」(QX)プロジェクトを立ち上げた。今回の実験は同社の2つの取り組みを融合した形となる。