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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2021年6月3日、全固体リチウムイオン2次電池(LIB)の次の世代となる車載向け電池の研究開発に着手すると発表した。LIBよりも材料資源が豊富な「全固体フッ化物イオン2次電池」と「亜鉛負極2次電池」の2種類をポスト全固体LIBに位置付け、大学や企業に委託して研究開発する。21年度から5年計画で進める。

NEDOが研究開発に着手する「全固体フッ化物イオン2次電池」と「亜鉛負極2次電池」
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NEDOが研究開発に着手する「全固体フッ化物イオン2次電池」と「亜鉛負極2次電池」
(出所:新エネルギー・産業技術総合開発機構)

 現在の電気自動車(EV)に使われている液体電解質を用いたLIBに代わり、20年代半ば以降、固体電解質を用いた全固体LIBが普及するとみられる。例えばトヨタ自動車は20年代前半に全固体LIBを実用化するという目標を掲げており、ドイツBMWやドイツ Volkswagen(フォルクスワーゲン)といった海外自動車メーカーも30年までに全固体LIB搭載の車種を生産開始するとしている。NEDOが狙うのは、全固体LIBが市場投入された後、さらにそれを上回る性能を持った車載向け電池を開発することだ。

 今回の事業で対象とする電池の1つ、全固体フッ化物イオン2次電池は、フッ化物イオン(F)をキャリアにした2次電池であり、本プロジェクトでは正負極に多価金属、電解質に無機固体電解質を用いる。インターカレーション型のLIBとは異なり、電極活物質自体が変化する「コンバージョン型」のフッ化物イオン2次電池を開発するとしている。「エネルギー密度と安全性のポテンシャルが高い」(NEDO)という。

 もう1つの亜鉛負極2次電池は、水酸化物イオン(OH)キャリアが亜鉛金属負極と炭素正極の間を行き来して充放電する。「安全性に大きなメリットがあり低コスト化にも有利だ」(NEDO)。NEDOが従来、研究開発してきた「亜鉛空気2次電池」の空気正極を炭素に置き換えて密封した電池系である。

 NEDOによれば、全固体フッ化物イオン2次電池は日本のオリジナリティーが高い電池だとする。「全固体LIBは中韓メーカーの追い上げが激しい」(NEDO)。今回ターゲットにしている次々世代電池では、日本の技術力で車載向けの覇権を狙う。