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 移動通信の標準化団体3GPP(Third Generation Partnership Project)はリリース17に向けた最新の活動報告をWebサイトに掲載した。SA2(Service &Systems Aspects:サービスおよびアーキテクチャー仕様検討グループ)議長であるPuneet Jain氏によるもので、下記はその概要となる。

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 SA2では、ネットワークの主要機能やリンク方法などを含め、Stage 2でのシステムアーキテクチャー全体の仕様開発を担当する。

出所:3GPP
出所:3GPP
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 リリース15では5Gシステムアーキテクチャーを決定し、リリース16では、産業自動化に向けた、Time Sensitive Communication(TSC)、超高信頼低遅延通信(URLLC)、非公共ネットワーク(NPN)、5Gシステム向けセルラーIoT(CIoT)に加え、5G無線有線コンバージェンス(5WWC)などを追加している。

 リリース16では、ネットワーク分析強化(Enhancements for Network Analytics、eNA)、通信アクセス運用管理サポート(Support for Access Traffic Steering, Switching and Splitting、ATSSS)、ユーザー端末に向けた通信機能最適化(Optimized UE radio capability signalling 、RACS)、ネットワークスライシング機能強化(Enhanced Network Slicing 、eNS)、サービスベースアーキテクチャー強化(Enhanced Service Based Architecture、eSBA)、5Gと従来規格間での音声通信継続性の確保(Single Radio Voice Call Continuity、5G-SRVCC)、位置情報を使ったサービスの強化(Enhanced Location Services、eLCS)なども行っている。

 リリース17に向けては、2019年12月のTSG SA#89全体会議で決定した優先順位に基づき、下記項目について検討を行っている。

 (1)非公共ネットワークのサポート強化:非公共ネットワーク上での画像、動画、音声通信から緊急時サービス、遠隔からのプロビジョニングなどのサポート強化を行う。

 (2)産業向けIoTのサポート強化:時間的な制約を持つアプリケーションやリアルタイム性が求められる通信に向けた、IEEEのTime-Sensitive Networking(TSN)を含むTime Sensitive Communication(TSC)機能強化を行う。上りリンクなどでの時間同期、ユーザー端末間TSC、時間的制約を持つ5Gシステムに向けた機能強化とサービス品質改善などを行う。

 (3)エッジコンピューティングに向けたサポート強化:エッジコンピューティング環境で動作するアプリケーションに向けた機能強化を行う。動的な通信オフロード、アプリケーションサービス提供サーバー変更時の円滑な切り替え、IPアドレス変更通知が受け付けられない場合のPSA変更サポートなどが含まれる。

 (4)通信アクセス管理運用サポート(フェーズ2):3GPPに準拠したLTE基幹ネットワークリソースを使用したマルチアクセスPDU(Packet Data Unit)セッションのサポートに加え、さらなるトラフィックステアリング機能提供に向けた検討を行う。

 (5)5Gネットワーク自動化検討(フェーズ2):ネットワーク分析用にユーザー端末からデータ収集する機能など、リリース16では先送りとなった内容の検討を行う。ネットワークスライスのサービス品質保証確認や、ネットワーク上のデータ分析機能(Network Data Analytics Function、NWDAF)に関する検討を進める。

 (6)ネットワークスライス機能強化(フェーズ2):GSMA(GSM Association)の5GJA(5G Joint Activity)で定義されているGeneric Network Slice Template(GST)サポートに向けての課題を抽出し、検討を行う。

 (7)高度なV2Xサービスサポートに向けたアーキテクチャー拡張(フェーズ2):歩行者の持つ端末とのV2X直接通信(PC5)時の電力効率化など、サービス品質改善に向けた検討を行う。

 (8)複数SIM対応端末向け機能追加:複数SIM機能を搭載する端末へのサービス拡張に向けて、複数SIM用のページング(端末呼び出し処理)メッセージ受信機能などを追加する。

 (9)近接型5G通信サービスに向けたシステム強化: ProSe(Proximity-based services、近接)直接通信や端末とネットワーク間通信、端末間通信、PC5での直接通信時のパス選択、サービス認可、プロビジョニングなどに向けた機能追加を行う。

 (10)5Gマルチキャスト・ブロードキャストサービスに向けたアーキテクチャー拡張: 5Gを使ったマルチキャスト、および、ブロードキャスト通信サービス用のアーキテクチャー検討を行う。透過的なIPv 4、IPv 6マルチキャスト配信やIPTV、無線を介したソフトウェア配信やグループ通信、IoTアプリケーション、V2Xアプリケーション、公共安全などへの利用を想定した検討を行う。

 (11)無人航空機システム(UAS)接続性、識別、追跡機能サポート:無人航空機(UAV)の識別やUAVへの認証などのUASによる運用管理、追跡や接続性確認などを、4G、5G両方の基幹ネットワーク両方でサポート可能にする。

 (12)5Gと衛星システム連携時のアーキテクチャー整備:5Gと衛星システム統合に関する検討を行う。衛星基地局として利用時のモビリティー、遅延、サービス品質、非静止衛星時のモビリティー、国家間で衛星地上局を活用する場合の規制などについて検討する。

 (13)高度な対話型サービスに向けた5Gシステム強化:クラウドゲーミングサービスなど対話型のサービス要件に向けて、5QI(5Gサービス品質指標)定義などを行う。

 (14)5Gロケーションサービスの強化(フェーズ2):5Gによる低遅延高精度なポジショニングサービス提供に向けた検討を行う。

 (15)マルチメディア優先サービス(フェーズ2):マルチメディア優先サービス(MPS)を使ったMMTel(Multimedia telephony) 音声電話会議や動画会議、データ送信、動画ストリーミング対応時の、4Gおよび5G基幹ネットワーク仕様への影響について調査を行う。

 SA2では、これらリリース17 Stage 2の標準化作業を2021年6月までに完了する予定で進めている。なお、リリース17 Stage 3完了は2022年3月、ASN.1/Code完了は2022年6月を予定している。