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自社のCMOSラインが強みの源泉

 新製品はCMOS技術で製造する。同社従来品はバイポーラー技術だった。EMI耐量を高めるために採用した技術は3つある。1つ目は、低域通過フィルターとして機能するRF-IA(Radio Frequency Impedance Adjuster)回路を搭載したこと。2つ目は、入力信号ラインや電源ラインの周囲にシールドラインを挿入してクロストークを抑えたこと。3つ目は、トランジスタ構造を最適化したことである。「3つの中では、3番目のトランジスタ構造の最適化が効いた。トランジスタ構造の調整によって、寄生容量の大きさを最適化したことがEMI耐量の向上に大きく寄与した。CMOS製造ラインを自社で開発しているため可能になった」(同社)という。

EMI耐量を高めるに適用した3つの技術
EMI耐量を高めるに適用した3つの技術
(出所:ローム)
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 新製品は同社の高EMI耐量オペアンプ/コンパレーターICファミリー「EMARMOUR(イーエムアーマー)」に含まれる。発売した2つの新製品の違いは、集積したオペアンプ回路の個数にある。すなわち、1回路入り(1チャネル)の「BD87581YG-C」と、2回路入り(2チャネル)の「BD87582YFVM-C」である。スルーレートは3.5V/μs(標準値)と高い。いわゆる高速オペアンプICである。入力オフセット電圧は1mV(標準値)。入力バイアス電流は1pA(標準値)。利得帯域幅積(GB積)は4MHz(標準値)。全高調波歪(ひず)み+雑音(THD+N)は0.05%(標準値)。入出力どちらも、電源電圧いっぱいまで振ることができる(レール・ツー・レール入出力)。

 電源電圧は2製品どちらも、単電源駆動時に+4〜14V、二電源駆動時に±2〜±7V。1回路入り品のパッケージは、外形寸法が2.9mm×2.8mm×1.25mmの5端子SSOP、2回路入り品は外形寸法が2.9mm×4.0mm×0.9mmの8端子MSOPである。動作温度範囲は−40〜+125℃。すでに月産100万個体制で量産を始めている。サンプル価格は2製品どちらも330円(税込み)である。現在、オペアンプ回路を4個集積した「BD87584YFV-C」の開発を進めている。

製品ラインアップ
製品ラインアップ
現在、量産中の従来品はバイポーラー技術で製造した。新製品は製造にCMOS技術を適用した。(出所:ローム)
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 今回は2製品の発売と併せて、位相余裕などの交流(AC)特性と入力バイアス電流や温度特性などの直流(DC)特性の両方を高い精度で解析できるSPICEモデル「ROHM Real Model」の提供を始めることを発表した。同モデルは、同社の専用サイトから入手できる。「入力信号と出力信号の関係を数式化したモデルを採用することで、AC特性とDC特性どちらでも高い精度でシミュレーションできるように改良した。従来モデルはトランジスタや抵抗、キャパシターなどの素子特性を利用しており、一部のAC/DC特性はシミュレーションできなかったり、精度が低かったりする課題を抱えていた」(同社)という。

新しいSPICEモデルと競合他社のSPICEモデルを比較
新しいSPICEモデルと競合他社のSPICEモデルを比較
(出所:ローム)
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 今後同社は、高EMI耐量はそのままにスルーレートや入力オフセット電圧などの基本性能を変えたオペアンプICを製品化予定である。EMI耐量のさらなる引き上げについては、「現時点では、もうこれ以上に高められないレベルに達したと考えている。このためまずは、品ぞろえの拡充を急ぎたい」(同社)としている。