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 平井卓也デジタル改革相は2021年6月11日の会見で、政府が発注したシステム開発費の減額交渉を担当する内閣官房の幹部職員に対し、ベンダーを脅せとも取れる発言をしていた一部報道を受けて釈明した。平井大臣は発言内容を認めたうえで「交渉に強い気持ちで臨むため、付き合いが長い幹部へのラフな表現だった。今後は気をつけたい」と話し、言葉遣いについて不適当だったとした。

発言の趣旨を説明する平井卓也デジタル改革相
発言の趣旨を説明する平井卓也デジタル改革相
(撮影:日経クロステック)
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 発言があったのは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会向けに政府が開発する「統合型入国者健康情報等管理システム(通称オリパラアプリ)」に関する政府内の会議だ。オリパラアプリは当初は海外観戦客向けを想定していたが、入国者が大会関係者に絞られたことで機能や運用期間を大きく絞り込んだ。

 2021年5月31日にベンダー側と合意に達し、当初の73億2000万円から38億5000万円へと減額して再契約を結んだと平井大臣が発表していた。ベンダーはNTTコミュニケーションズのほかNECや日本ビジネスシステムズなど5社で構成するコンソーシアムで、特に不要となった顔認証機能を担当するNECは再契約で発注額がゼロになった。

 音声データを入手した朝日新聞の報道によると、平井大臣の発言は2021年4月上旬に、オリパラアプリ契約再交渉を担当する内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室の幹部職員らを交えた政府内の会議であった。顔認証機能を担当するNECに対し「今回の五輪でぐちぐち言ったら完全に干す」「NECには(五輪後も)死んでも発注しない」などと発言したとされる。NECの遠藤信博会長の名前を挙げて「脅しておいたほうがいいよ」という趣旨の発言もあったという。

 平井大臣は、音声データがこれらの会議の一部だろうとしたうえで、「10年来の付き合いがある気心が知れた幹部2人に対してラフな表現を用いた」とした。「私は契約交渉に臨むことはなく、幹部もベンダーに(平井大臣の言葉を)交渉の場でそのままするような人たちではない」という前提での発言だったという。「減額の交渉は強い気持ちを持たないと臨めない。国民の立場に立って考えるよう幹部2人に強い口調を使ってしまった」と釈明した。

 交渉相手だったNECについては「発言内容がおおやけになってしまった以上は、誤解がないように説明する必要がある」とした。一方、NECは契約金額がゼロとなった再契約や報道内容に対して、「政府の方針を踏まえて、当社を含む共同事業体として(政府と)協議して契約変更に応じた。交渉の詳細は回答を控える」(広報担当)とした。オリパラアプリは2021年2月以降に開発が本格化しNECもSEを稼働させたと見られるが、今回の契約変更に異存がないことを表明した形だ。