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 みずほフィナンシャルグループ(FG)は2021年6月15日、2021年2~3月にかけてみずほ銀行で発生したシステム障害について「システム障害特別調査委員会(第三者委員会)」の調査報告書を受領したと発表した。第三者委員会は報告書で、2002年と2011年に引き起こした大規模システム障害などとの関連を認め、「過去指摘された問題が依然存続していると考えられる」と結論付けた。

 第三者委員会は今回の度重なるシステム障害の原因に関して「危機事象に対応する組織力の弱さ」「ITシステム統制力の弱さ」「顧客目線の弱さ」の3点を挙げ、さらにその根底に企業風土の問題があると総括した。組織風土に関しては「失点を恐れて積極的・自発的な行動をとらない傾向を促進する企業風土が根底にあることが、合理的に推定される」と指摘した。

MINORIの構造や仕組みに欠陥は無し

 2019年7月に全面稼働した新システム「MINORI」に関しては、「MINORIの構造、仕組み自体に欠陥があったのではなく、これを運用する人為的側面に障害発生の要因があった」(2021年2月28日の障害原因)とした。同年3月3日や3月7日、3月12日に発生した障害に関しても、ハードウエア障害や一部プログラムの設計ミスが原因であり、MINORI自体に問題はなかったとする。

 過去のシステム障害との関連については「共通項がいくつも認められる」としたうえで「その一部は再発防止策の中でうたわれた事項であるにもかかわらず、再度同じ原因により障害が発生しており、危機対応力やITガバナンスなどの面に根深い問題があることをうかがわせる」とした。

 報告書では2019年7月にMINORIへ本格移行した後に、みずほFGがIT人材を再配置したことに言及し「MINORI(に関連する)業務に従事する人員減少、異動などにより、(2021年)2月28日障害の発生時点で、MINORIの全体を理解できるスキルのある人材やMINORI構築時のノウハウを有している人材の関与が減少していた」と指摘した。

 みずほ銀行は2021年2~3月にかけて、短期間のうちに4度もシステム障害を起こした。2月28日のシステム障害では、自行ATMの7割以上が一時停止した。ATMがキャッシュカードや通帳を取り込んだままになり、顧客が店舗などで長時間立ち往生した。