平井卓也デジタル改革相は2021年6月18日の会見で、自身と近い関係にあるITベンチャーの名前を挙げて政府IT発注への参入を指示したとする一部報道に反論した。平井大臣は報道されている発言は4月7日の会議のものだとしたうえで、「具体的な企業名を挙げた事実はない」と断言した。

一部報道に反論する平井卓也デジタル改革相
一部報道に反論する平井卓也デジタル改革相
(撮影:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 平井大臣は自身と職員複数人が該当する会議の録音データを複数回確認したとし、週刊誌報道は音声データの不明瞭な部分を意図的にテキストで補っていると判断。「一般読者に対して意図的に誤解を与えようとするものだ」とし、6月17日に出版社に対して記事の訂正または削除を申し入れたことを明らかにした。また、異例中の異例と前置きしたうえで、録音データの公開も検討する意向を明らかにした。

出版社に対する申し入れ文書
出版社に対する申し入れ文書
(出所:内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室)
[画像のクリックで拡大表示]

 デジタル庁の入退室管理システム導入に関する自身の発言において、東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻の松尾豊教授の名前を挙げたことについては、「松尾研究室の若い研究者が扱う最新のアルゴリズムは相当進化している。既存技術だけを見るなという意味」と述べ、技術動向を幅広く情報収集すべきだという指示だったとした。一部報道で名前が挙がったAI(人工知能)開発のACESに対しては「(自身が)発言もしていない企業が巻き込まれてしまったことに対して申し訳ないと思う」と述べた。

 

 平井大臣は、週刊誌報道で自身が指示したとされるデジタル庁の顔認証を使った入退室管理システムについて「現状では顔認証は使わず、そのような調達はまだない」として、発注案件そのものが具体化していないとも説明した。2021年9月に発足するデジタル庁は東京都千代田区にある東京ガーデンテラス紀尾井町への入居が決まっている。6月21日から先行して入居する内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室によると「入退室ゲートはビルの既存施設をそのまま使う」予定である。

 入手した音声に基づき週刊文春が「文春オンライン」で2021年6月16日に報じた記事によると、平井大臣は4月7日に開かれた内閣官房IT総合戦略室の会議で、デジタル庁が発注する予定の事業にACESを参加させるよう求める発言をしたとされる。ACESは6月16日、同社がデジタル庁や平井大臣から依頼や問い合わせを受けた事実はないとのコメントを公表している。