TDKは、外形寸法が34.0mm×12.7mm×36.8mmと小さい非絶縁の昇降圧型コンバーターモジュール「i7Cシリーズ」を開発した ニュースリリース 。同社の子会社であるTDKラムダが2021年6月に量産を開始し、「TDK-Lambda」ブランドで販売する。TDKが非絶縁の昇降圧型DC-DCコンバーターモジュールを製品化するのは今回が初めて。同社によると、「現時点では、国内の競合他社はまだ製品化しておらず、海外の競合他社の一部が市場投入しているだけである。しかも、海外の競合他社品に比べると、新製品は小型化や高効率化などの点で上回っている」という。
今回同社が非絶縁の昇降圧型DC-DCコンバーターモジュールを製品化したのは、「バッテリー(電池)を電源とする産業機器が急増しているため」(同社)という。新製品の具体的な応用先は、無人搬送車(AGV)や、携帯型X線検査装置、携帯型超音波画像診断装置、バッテリーバックアップ装置、半導体製造装置、医療機器などである。
一般にバッテリーの出力電圧は、放電が進むとともに低下する。公称電圧が+24Vのバッテリーでは、放電開始時の出力電圧は+32V程度だが、放電末期には+18V程度まで低下する。このバッテリーの出力電圧から安定化した+24Vを作る場合、降圧型DC-DCコンバーターモジュールを使うと+24〜+32Vの電圧では利用できるが、+18〜+24Vの電圧では使えない。このため、「産業機器メーカーを中心に、非絶縁の昇降圧型DC-DCコンバーターモジュールを製品化してほしいという要望が多かった」(同社)という。昇降圧型DC-DCコンバーターモジュールを使えば、+18〜32Vの電圧で利用できるため、バッテリー駆動時間を延ばせるようになる。
新製品は同期整流方式を採用する。フィードバックループの制御方式は電流モードである。出力電圧の設定範囲が異なる2製品を用意した。1つは+9.6〜48Vの「i7C4W008A120V-xxx-R」。もう1つは+5〜28Vの「i7C4W012A050V-xxx-R」である。入力電圧範囲はどちらも+9〜53V。変換効率は97%が得られる(i7C4W008A120V-xxx-Rの場合)。「海外の競合他社品は95%程度だった。今回は、搭載する部品の最適化と、シミュレーション技術の活用による回路設計の工夫で変換効率を2ポイント高めた」(同社)という。スタンバイ時の消費電流は、「不要な回路に流れる電流をできる限り止めることで0.25mAに抑えた」(同社)としている。スイッチング周波数は250kHzに設定した。新製品の主な仕様を下表に示す。
発売した2つの製品にはそれぞれ、標準品とフルオプション品を用意した。標準品には、リモートON/OFFコントロール機能とリモートセンシング機能を搭載。フルオプション品には、これらの機能に加えて、パワーグッド信号出力機能と周波数同期機能、出力電流監視機能を載せた。端子配置は、1/16ブリック品との互換性を確保した。ただし外形寸法は1/16ブリック品よりも若干大きい。重さは25g。オープン価格で、市場推定価格の公表もない。