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 KDDIとフィンランドNokia(ノキア)は2021年6月18日、モバイル基地局を省エネ化する2つの技術の実証実験を開始すると発表した。トラフィック量が少ない時間帯に電波の量を減らす技術と、ベースバンド装置の液冷についての効果を検証する。前者は電力使用量を最大50%削減でき、後者は最大70%削減できると見込んでいる。KDDIによれば、同年7月末ごろまでに実証実験を開始する見通しである。

実証実験の概要
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実証実験の概要
(出所:KDDI)

 国内には膨大な数の基地局が敷設されており、省エネ化が喫緊の課題となっている。KDDIによると、同社が消費する全電力のうち約6割は基地局関連が占めている。データ通信量の増加や5G(第5世代移動通信システム)の普及によって、基地局の需要はますます高まる。こうした背景から、基地局ベンダーのノキアが開発した省エネ化技術を、KDDIの商用基地局に適用する。

 トラフィック量に応じた電波の制御技術「Nokia AVA」は、人工知能(AI)を活用する。機械学習のアルゴリズムで時間帯別・季節別のトラフィック量の変化を分析し、需要が少ない時間に電波を一部停波することで電力使用量を抑える。KDDIによれば、ユーザーの体感品質を維持したまま基地局の電力使用量を削減できるという。特にこの技術が生かせる、トラフィック量が少ない環境下では、平均20%、時間帯によっては最大50%省エネ化できる見込みだ。「実証実験する基地局数は現状で未定」(KDDI)である。ノキアによれば、当技術はマルチベンダー対応でき、周波数帯や4G/5Gによらず導入可能だという。

Nokia AVAの概要
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Nokia AVAの概要
(出所:KDDI)

 実証実験のもう1つの取り組みが、ベースバンド装置を液体で冷やすというもの。ベースバンド装置は通常ファンによる空冷で放熱するが、今回は冷却効率により優れた液体を使う。水とグリコールの混合物である不凍液をポンプによってベースバンド装置に送出。基板などから熱を回収した後、液体を別のきょう体に移動させて、ファンで再び冷やして循環する。この冷却装置はメンテナンスが不要で静音性に優れるため、さまざまな場所に展開できるとする。KDDIによれば、この実証実験は1局から開始するという。

液冷システムを搭載したベースバンド装置
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液冷システムを搭載したベースバンド装置
(出所:KDDI)
液体で基板の熱を逃がす
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液体で基板の熱を逃がす
(撮影:日経クロステック)

 KDDIはこの実証実験で、各技術の効果検証とサービスへの影響の有無を確認する。必要な追加開発や対象基地局の抽出をした後、23年ごろの本格導入を目指す。