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 移動通信の標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)は、リリース17に向けてRAN3(Radio Access Network:無線アクセスネットワーク仕様検討グループ)が進める、RANへのAI(人工知能)およびML(機械学習)適用研究の概要を、自身のサイトに掲載した。以下はその概要となる。

(出所:3GPP)
(出所:3GPP)
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 5Gでは、遅延時間、信頼性、ユーザー体験などさまざまな要件において、厳しい指標が設けられている。事業者やメーカーではこのような課題に対処するものとしてAIやMLの活用に注目しており、これを受けて、3GPP RAN3でもリリース17に向けた調査を進めている。

 AIは広義には、コンピューターによる人間特有のタスク実行を可能にする機能と定義できる。MLはそのAI技術の一つとして、明示的なプログラミングなしでも自動的に性能改善を行うアルゴリズムであると定義している。AIアルゴリズムが最初に考案されたのは1950年ごろだが、大量のデータと計算能力を必要とするため、普及したのはごく最近になってから。ML技術によって、コンピュータービジョンや自然言語処理(プログラム言語ではなく人間が通常使用する言語でコンピューターを処理する)など多様な分野で著しい進歩がみられるという。

 ここではMLアルゴリズムを次の3タイプに分類している。

 (1)Supervised learning(教師あり学習):訓練ラベル付きデータと正解データからなるトレーニングデータを使って、入力から出力を導き出すルールを推論し、正解予測機能を生成する。Deep Learning(深層学習)のほとんどは、この手法をベースにしている。

 (2)Unsupervised learning(教師なし学習):既存のラベルなしトレーニングデータを使って学習し、有用な情報パターンなどを独自に導き出す。

 (3)Reinforcement learning(RL、強化学習):通常オフラインで実施するトレーニングやリアルタイムで行う推論などの段階を経ず、各種環境下で試行錯誤しながら最適な手法を学習していく。

 RANへのAI/ML導入において、まず候補となるのが、自己組織化ネットワーク(Self-Organizing Networks、SON)機能だ。この機能はリリース8で初めてLTEに導入され、現在、LTEやNR仕様に含まれている。SONを使うことで、通信の混雑状況などに応じたネットワークの自己調整が可能となる。現在、このSONのアルゴリズムは、3GPPで標準化されておらず、規定のルールに従った実装がされている。SONとAIをベースとする手法では、所定の規則に沿った処置を行うか、先を見越して処置するかといった違いがある。

 現在RAN3では、こうした機能と、それに対応するデータ(無線アクセスネットワークや基幹ネットワーク、端末から収集した大量の入出力データ)の分類、既存のノードやインターフェースへの潜在的な影響にフォーカスした調査を進めている。詳細なAI/MLアルゴリズムは対象外とし、RAN3で定義するRANアーキテクチャーのうち、EN-DC(E-UTRA NR Dual Connectivity、LTEと5G NRの同時接続)を含むNG-RAN(Next Generation‐Radio Access Network、5G基幹ネットワークに接続できる無線アクセスネットワーク)を優先して調べている。ユースケースとしては、省エネルギー、負荷分散、モビリティー最適化を優先し、NG-RANアーキテクチャーに向けたAI/MLフレームワークの定義と、ユースケースに必要なAI/MLワークフローを検討していく。