米Google(グーグル)は2021年6月24日(米国時間)、同社製Webブラウザー「Chrome」におけるサードパーティークッキーの取り扱いについて、2023年半ばから2023年末までの3カ月間で段階的に廃止すると発表した。同社はこれまで、2022年前半にも同クッキーを廃止する意向を示しており、計画を1年ほど延期した格好だ。グーグルが開発中の代替技術「FLoC(フロック)」を懸念する意見が影響したとみられる。
グーグルは現在、FLoCを含むサードパーティークッキー代替技術の開発プロジェクト「Privacy Sandbox」に取り組んでいる。新たに公開したスケジュールによれば、同技術への移行と廃止を2段階で進める。まず2022年後半からのステージ1を、FLoCを含むグーグルが開発した代替技術への移行期間と位置付ける。同社は現在、日本を含む世界各国でFLoCを試験している。今後数週間で試験を終え、全てのChrome利用者向けに同技術の提供を始めた段階でステージ1の開始時期を発表するという。ステージ1は9週間を予定しており、同期間中にメディア企業や広告主企業に移行を促す。
2023年半ばからのステージ2において、グーグルは3カ月をかけてサードパーティークッキーを廃止する。ステージ2は2023年後半に終える予定だ。ただ、これらのスケジュールを定期的に更新するとしており、さらなる変更に含みを持たせている。
「Privacy Sandboxが全ての人に最高のプライバシー保護を提供すると信じている。新技術の評価に時間をかけ、フィードバックを集め、(中略)全ての開発者にプライバシー保護の最善の方策を提供しなければならない」。グーグルは発表文でこう述べた。
FLoCはChromeが備えるAI(人工知能)を使って利用者の興味や関心を推測し、ネット広告の配信に使う技術。FLoCに対してはデジタル分野のプライバシー保護を掲げる団体の米EFFが反対を表明したほか、米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)が自社サイトでブロックしたとの報道もあった。さらに英国の競争市場局(CMA)が調査に乗り出しており、こうした点も踏まえてグーグルは「エコシステム全体でこの取り組みを正しく進めるため、さらなる時間が必要と分かった」としている。
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