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 ヤマハ発動機と静岡大学、東京都立大学、東京電機大学は、非加熱かつ短時間でチタン(Ti)合金表面に窒化層を形成するプロセスを開発したと発表した。優れた耐摩耗性と強度を兼ね備えた「多機能Ti合金の開発につながる」(4者)とみる。航空機や自動車、生体医療などの分野への応用が期待される。

 ヤマハ発動機の材料技術部と静岡大学工学部機械工学科 准教授の菊池将一氏、東京電機大学工学部先端機械工学科 助教の井尻政孝氏(研究当時、現在は東京都立大学システムデザイン学部機械システム工学科 助教)の研究グループの成果である。

* ヤマハ発動機・静岡大学・東京電機大学・東京都立大学のニュースリリース

 新開発のプロセスでは、窒素を含む微粒子、例えば表面に窒化物の層を設けたTiの粉などを常温・大気環境において高速で投射(ピーニング)し、Ti合金に衝突させる(図1)。これにより、微粒子の一部がTi合金の表面に付着して窒化層を形成し、ビッカース硬さが900HV程度の硬い表面が得られる。厚さが約1.5μmの窒化層を形成するのにかかる時間は約30秒で、従来の窒化処理に比べて速い(図2)。できあがった窒化層を観察したところ、微粒子が衝突した際にTi合金の表面組織を微細化することも分かった(図3)。

図1:新開発のプロセスによる窒化層形成のイメージ
図1:新開発のプロセスによる窒化層形成のイメージ
(出所:ヤマハ発動機・静岡大学・東京都立大学・東京電機大学)
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図2:窒化層の形成速度
図2:窒化層の形成速度
(出所:ヤマハ発動機・静岡大学・東京都立大学・東京電機大学)
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図3:Ti合金の表面
図3:Ti合金の表面
(出所:ヤマハ発動機・静岡大学・東京都立大学・東京電機大学)
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 一般にTi合金は、軽い、強度が高い、さびにくいといった利点を持つ半面、摩耗しやすいため、適用範囲を拡大するには耐摩耗性を高める必要がある。そのため、窒素拡散を利用してTi表面を硬くしたり、表面にコーティングを施したりする。しかし、従来の手法ではTi合金を900度(1173K)以上の高温に加熱して長時間処理するなどの結果、Ti合金組織の粗大化に伴う強度の低下が課題とされていた。