PR

 移動通信関連の業界団体GSMA(GSM Association)は2021年7月8日、ITU(International Telecommunication Union、国際電気通信連合)が求める高速データ通信実現に向けては、今後10年で中周波数帯における平均2GHzの周波数(帯域幅)を確保する必要があるとするリポート「Vision 2030 Insights for Mid-band Spectrum Needs」を発表した。世界36都市での調査結果として、この2GHzの確保により、環境への影響を最小限にしながら、5G消費者の費用負担も削減できるとしている。

 今回の調査では、一般消費者や企業に下り速度100Mビット/秒、上り速度50Mビット/秒のデータ通信を提供するというITUの目標を実現するには、事業者が2030年までに、3.5GHz帯、4.8GHz帯、6GHz帯などの免許を得る必要があるとしている。この周波数の追加がなければ、5Gの可能性を完全に引き出すことは難しく、それを補完するためにアンテナ数や基地局を増やせば、炭素排出量や顧客の費用負担が増加する。周波数を追加できれば、炭素排出量を2~3倍削減でき、移動通信の持続可能な発展が望めるとしている。

 例えば、周波数が800~1000MHz不足すれば、基地局の数を増やす必要があり、その設置費用に、1都市当たり7億8200万~58億米ドルと、総コストが3~5倍高くなる。

周波数が800~1000MHz不足した場合の環境と費用への影響
周波数が800~1000MHz不足した場合の環境と費用への影響
(出所:GSMA)
[画像のクリックで拡大表示]

 中周波数帯の活用は、FWA(Fixed Wireless Access、固定無線アクセス)の強化にもつながる。2GHzの追加により、各基地局から従来の5倍の世帯に、安価な高速インターネットを提供することができるようになる。

中周波数帯の周波数2GHzを追加することで5倍の世帯への安価な高速インターネット提供が可能に
中周波数帯の周波数2GHzを追加することで5倍の世帯への安価な高速インターネット提供が可能に
(出所:GSMA)
[画像のクリックで拡大表示]

 GSMAでは、次回2023年に開催されるWorld Radiocommunication Conference(世界無線通信会議)に向けて、規制当局に次のような対応を求めたいとしている。

  • IMT-2020の求める5G性能実現に向けて、2025~2030年内に、中周波数帯の平均2GHzの周波数を利用可能にする施策の立案
  • 今後の5G利用者増やユースケースの進化などによる、5G周波数の需要増に向けた慎重な議論
  • 人口密度や有線ネットワーク提供状況などに基づいた周波数配分の決定
  • 3.5GHz帯、4.8GHz帯、6GHz帯といった5G向け中周波数帯への調和のとれた支援と、既存周波数帯における技術改善の推進