薩摩酒造(鹿児島県枕崎市)はエルステッドインターナショナル(東京・港区)とBlueForce(鹿児島県霧島市)、福岡工業大学と共同で、本格焼酎(単式蒸留焼酎)の製造過程で発生する焼酎粕(かす)から活性炭を造り、電気二重層キャパシター(EDLC)の電極材に再利用するプロジェクト「焼酎粕の新エコシステム構築プロジェクト」を発足させた。「完全循環型の焼酎製造システム」(薩摩酒造)を目指す(図1)。

図1:「完全循環型焼酎製造システム」の概要
図1:「完全循環型焼酎製造システム」の概要
(出所:薩摩酒造)
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* 薩摩酒造のニュースリリース:https://www.satsuma.co.jp/2021/07/14130000.html

 同プロジェクトでは、福岡工業大学工学部電気工学科教授の田島大輔氏が開発した技術を基に、5年計画で焼酎粕の再利用の仕組みを構築する(図2)。まず、2021年に焼酎粕の炭化に関する基礎研究を開始。同年後半には実用化研究を始め、22年には炭化炉の設計・試作に取り掛かる。併せて、賦活処理(炭化した活性炭原料に微細孔構造を造り込む工程)についても、21年に基礎研究と実用化研究を開始し、22年には賦活装置を設計・試作する。

図2:BlueForceが作成したロードマップ
図2:BlueForceが作成したロードマップ
(出所:薩摩酒造)
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 EDLCに加えて、金属空気燃料電池の実用化も目指す。焼酎粕由来の原料を電極に使用したEDLCの実用化は、22年を予定している。その後23年に、炭化と賦活処理の実証実験を実施。24~25年にかけて完全循環型集中製造実証実験、25年には蓄電の実証実験へと段階を移行させる。

 同プロジェクトにおいて薩摩酒造は焼酎粕を提供する。次世代電池の研究開発や製造・販売などを手がけるBlueForceは、活性炭とEDLCの製造技術とノウハウを提供するとともに、EDLCと金属空気燃料電池の研究開発・試作を担当する。ハードウエアメーカーの開発・製造・マーケティングの支援事業を展開するエルステッドインターナショナルは、同プロジェクトでも開発・製造・マーケティング・販売をサポート。福岡工業大学は、技術の取りまとめを担う。

 薩摩酒造の製造工程で発生する焼酎粕の量は年間1万t(トン)以上。同社は従来、近隣にある焼酎の蔵元15社と連携して再利用に取り組んできた。具体的には、焼酎粕を液体と固体に分離し、前者はメタン発酵させてボイラー用の燃料とし、後者は乾燥させて飼料にして鹿児島県内の畜産業に供給してきた。

 同社は、さらなる焼酎粕の再利用を推進するために、田島氏が最高技術責任者を務め、BlueForceがプロジェクト化した「環境・エネルギーミックスビジネスモデル」事業に参画。今回のプロジェクトを発足させた。同プロジェクトの活動により、政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」実現への貢献を目指す。