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 川崎重工業は、明石工場(兵庫県明石市)の自家発電設備にリチウムイオン2次電池(LIB)と太陽光パネルを組み合わせた蓄電ハイブリッドシステムを導入し、実証実験を開始した(図1)。ガスタービン発電の排熱を利用した熱エネルギー供給と、太陽光パネルやガスタービン発電、LIBによる充放電を同システムで担い、熱と電気の使用状況に応じたエネルギー供給の最適化を図る。

図1 明石工場内のガスタービン「M1A-17D」(左)と太陽光パネル(右)
図1 明石工場内のガスタービン「M1A-17D」(左)と太陽光パネル(右)
(出所:川崎重工業)
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川崎重工業のニュースリリース

 同システムは、同社製のガスタービン「M1A-17D」(1770kW)に、35.3kWhのLIBと50kWのパワーコンディショナー(PCS)から成る蓄電システムと、5kWの太陽光パネルを組み合わせたもの(図2)。これにより[1]余剰電力の蓄電による省エネルギー、[2]仮想同期発電機制御(Virtual Synchronous Generator:VSG)による自立運転、[3]事業継続計画(BCP)対策、[4]計画値同時同量制度への対応、を目指す。

図2 蓄電ハイブリッドシステムの構成
図2 蓄電ハイブリッドシステムの構成
(出所:川崎重工業)
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 [1]では、ガスタービンを運転した際に発生する余剰電力をLIBに充電し、有効利用する(図3)。[2]のVSGは、PCSの制御方式の1種。コンピューター上で発電機の特性を模擬し、再生可能エネルギー(再エネ)と協調した自立運転を実施する。系統連系運転と自立運転を無瞬断で切り替えるので、無停電で電力供給を継続できる。

図3 電力の充電/放電イメージ
図3 電力の充電/放電イメージ
(出所:川崎重工業)
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 [3]としては停電時、蓄電した再エネ電力でガスタービンのブラックアウトスタートが可能。再エネとガスタービン、LIBの充放電によって、停電エリアに給電する。[4]の計画値同時同量制度は、発電側と需要側の両事業者が発電計画と調達計画を提出し、その計画に基づいて運用する制度。同システムは、蓄電システムを監視・制御してガスタービンとLIBを協調制御する統括制御装置を備えており、これにより計画値同時同量の実現を目指す。

 実証実験は、同システムの安定性や運用性の確認に加えて、VSGの評価も目的としている。LIBとガスタービン発電の制御の最適化により、同工場では再エネを有効活用できる。21年4月に始まった需給調整市場への電力の販売も可能だ。さらに同社は、実証で得られた知見を生かし、環境負荷の低減や低炭素・脱炭素の実現に向けた製品・システムの開発を推進する。