メルカリは2021年7月28日、スマートフォンを使ったeコマース開設サービス「メルカリShops(メルカリショップス)」を始めた。新規事業子会社のソウゾウを通じて提供する。農家や個人事業者などを対象に、既存のフリマアプリ「メルカリ」と同様の手順でネットショップを開設したり商品を出品・管理したりできる。

 メルカリは2021年1月にソウゾウを設立。2019年に解散した以前の新規事業子会社と同じ社名で新規事業への再挑戦を模索していた。日本向けフリマ、決済、米国向けフリマに次ぐ第4の柱となる事業へ育てる。

新規事業「メルカリShops」を発表するソウゾウの石川佑樹CEO(左)とメルカリの山田進太郎社長
新規事業「メルカリShops」を発表するソウゾウの石川佑樹CEO(左)とメルカリの山田進太郎社長
(出所:メルカリ、以下同)
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 メルカリアプリ内に「ショップ」タブを設け、同タブ内に事業者がネットショップを開いて商品を出品できる。店舗開設から商品の出品、商品の種類や説明の記載、在庫の設定、発送や売り上げの管理まで、一連の作業を全てスマホで実施できる。まず7月28日に先行出店を受け付け、2021年9月に本格提供を始める。

「メルカリShops」の画面例
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 当初は農家や漁業者、小規模な飲食店、個人クリエーターを主な対象とする。食品や料理、地方の特産物、ハンドメードの雑貨やアパレル品の出品を見込む。まずメルカリアプリ内でネットショップを開設する機能を提供し、2021年中にはアプリ外の独立したWebサイトも開設できるようにする。

 「スマホ1つで誰でも簡単にネットショップを開設でき、メルカリアプリ1900万人の顧客基盤とAI(人工知能)を活用し独自の集客なしで売れる体験を提供する」。ソウゾウの石川佑樹最高経営責任者(CEO)は新サービスの意義をこう説明した。Eコマースを簡単に開設できるとうたう多数の既存競合サービスがある中で、「既存のC to C(個人間取引)サービスで大切にしてきたことを今回の事業者向けサービスにも生かす」(同)。

「メルカリShops」の特徴。店舗開設から売り上げの管理まで、スマホで完結する。ネットショップに関する知識やノウハウは要らないという
「メルカリShops」の特徴。店舗開設から売り上げの管理まで、スマホで完結する。ネットショップに関する知識やノウハウは要らないという
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 新規事業の創出はメルカリの課題だった。同社は2015年に旧ソウゾウを設立して新規事業へ本格的に乗り出したものの、2018年から各サービスを相次ぎ終了。旧ソウゾウも解散した。旧ソウゾウのメンバーだった石川CEOは「旧ソウゾウには人一倍思い入れがあった。過去在籍した人も誇れる会社を作りたいとの思いで、ソウゾウを再び立ち上げた」と語る。

 新規事業を選ぶにあたっては新型コロナ禍が契機になったという。感染拡大を防ぐ名目で飲食店などの営業が困難になる一方、巣ごもり消費の拡大でEコマース需要が拡大。一方で日本のEC化率は6.7%(経済産業省調べ)と低いままだ。「ECへの大きな需要があるにもかかわらず、うまく進んでいない。メルカリの強みを生かし、ネットショップを一部の限られた人のものからみんなのものにしたい」(石川CEO)。

 「メルカリにとって、決済事業会社メルペイに次ぐ2年ぶりの新規事業。グループの次なる柱として育てていきたい」。メルカリの山田進太郎社長はこう意気込みを語った。かつて総撤退した反省を生かし、今度こそ新規事業をものにできるか。