台湾の地元メディアは2021年7月28日、台湾政府や軍の要人、与野党幹部、自治体関係者など100人以上が対話アプリ「LINE」のハッキング被害に遭い情報が流出した可能性があると報じた。LINE台湾法人も同日、トラブルの発生を一部認める声明を出した。
台湾の主要紙「自由時報」(電子版)が7月28日付で報じた。同紙の報道によると、LINE台湾法人が情報流出を確認したのは報道の前週という。被害に遭ったユーザーのLINEでは、通常オンになっているメッセージの暗号化機能「Letter Sealing」がオフにされていたとしている。
LINE台湾法人は同日、公式サイトで声明を発表。このなかで同社は「今回の事件に対しては、LINEのシステムが異常を検知した後、直ちにユーザーを保護する措置を講じた。法執行当局へも既に報告している。データセキュリティーとユーザーの個人情報は我々の最重要課題の1つであり、今後も継続して必要な措置を講じていく」とした。事件の詳細な説明は避けつつもトラブルがあったことを認めており、それがユーザーの個人情報に関わる内容であることを示唆した格好だ。
LINEを巡っては日本国内でも2021年3月以降、ユーザーの個人情報に中国の関連会社からアクセス可能だったことや、画像や動画、ファイルなどが韓国にあるサーバーに保管されていたことが相次いで判明。その後の説明が事実と一部異なっていたことも明らかになり、政府機関や自治体の間でLINEを使う行政サービスを停止するといった動きが相次いだ。今回台湾で判明した情報流出の疑いはそれらに続くものとなり、波紋が広がりそうだ。