世界最大の電池メーカーである中国CATL(Contemporary Amperex Technology Co Ltd、寧徳時代新能源科技)は2021年7月29日、中国時間の15:30(日本時間16:30)に、ナトリウムイオン電池(NIB)の商用化を開始するとオンラインで発表した。
同社は前日の28日に翌日の発表を予告。「『ナトリウム』中の暗号が今まさに明かされる」(CATL)と期待をあおったり、カウントダウンのページを各種SNSに設けたりしたことで、この予告自体を中国の多数の報道機関が一斉に報道する騒ぎになっていた。やや下がり気味だった同社の株価もこの予告で急騰した注1)。

低温耐性の高さをアピール
今回の発表でCATLがアピールしたNIBの特徴は、(1)低温耐性の高さ、(2)急速充放電性能の高さ、(3)環境適合性の高さの3つである。
CATLによれば、開発した第1世代のNIBセルの重量エネルギー密度は160Wh/kgだという。3元系リチウムイオン電池(LIB)が同240~270Wh/kg、CATLの主力製品であるリン酸鉄(LFP)系LIBが同180~200Wh/kgであることに対して、かなり低い値である。
一方、急速充放電性能は一般的なLIBより高く、15分で80%以上を充電できるとする。加えて、セ氏-20度の低温環境でも定格容量の90%を利用できるという。さらにはたとえセ氏-40度といった極寒の環境でも電池として動作するとした。