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 世界最大の電池メーカーである中国CATL(Contemporary Amperex Technology Co Ltd、寧徳時代新能源科技)は2021年7月29日、中国時間の15:30(日本時間16:30)に、ナトリウムイオン電池(NIB)の商用化を開始するとオンラインで発表した。

 同社は前日の28日に翌日の発表を予告。「『ナトリウム』中の暗号が今まさに明かされる」(CATL)と期待をあおったり、カウントダウンのページを各種SNSに設けたりしたことで、この予告自体を中国の多数の報道機関が一斉に報道する騒ぎになっていた。やや下がり気味だった同社の株価もこの予告で急騰した注1)

発表前日の予告
発表前日の予告
中国語の意味は、「『ナトリウム』中の暗号が今まさに明かされる」

注1)NIBの量産について7月前後に発表することは、2021年5月21日に開かれたCATLの株主総会で同社の創業者で代表取締役会長のZeng Yuqun氏が明らかにしていた。「技術開発が成熟し、量産可能になった」(Zeng 氏)。ただし、当初7月に予定されていたCATLの電池関連の大型イベントが2021年8月半ばに延期になり、NIBも発表もそこで行われるとの観測が広がっていたため、前日の抜き打ち的な発表予告に株式市場も驚いたようだ。

低温耐性の高さをアピール

 今回の発表でCATLがアピールしたNIBの特徴は、(1)低温耐性の高さ、(2)急速充放電性能の高さ、(3)環境適合性の高さの3つである。

 CATLによれば、開発した第1世代のNIBセルの重量エネルギー密度は160Wh/kgだという。3元系リチウムイオン電池(LIB)が同240~270Wh/kg、CATLの主力製品であるリン酸鉄(LFP)系LIBが同180~200Wh/kgであることに対して、かなり低い値である。

重量エネルギー密度は160Wh/kg
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重量エネルギー密度は160Wh/kg
(写真:CATLの発表会の動画を日経クロステックがキャプチャー)

 一方、急速充放電性能は一般的なLIBより高く、15分で80%以上を充電できるとする。加えて、セ氏-20度の低温環境でも定格容量の90%を利用できるという。さらにはたとえセ氏-40度といった極寒の環境でも電池として動作するとした。

LFP系LIBとの性能比較
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LFP系LIBとの性能比較
水色が今回の第1世代NIB、灰色がLFP系LIB。エネルギー密度ではLFP系LIBがNIBを上回っているが、安全性と寿命はほぼ同等、充放電時の損失(系統集成効率)や急速充放電性能、低温性能ではNIBのほうが優れているとする。(図:CATLの発表動画を日経クロステックがキャプチャー)