横浜ゴムは、独自開発の材料「ゴム・樹脂ポリマーアロイ」を採用した自動車用エアコンホースで、従来製品と同等の柔軟性や耐熱性を維持しながら、ガス抜けを防ぐ「ガスバリア性」の向上に成功。ホースの薄肉化による大幅な軽量化の実現にめどを付けた(図1)。2024年の実用化を目指す。

図1 ゴム・樹脂ポリマーアロイを採用した次世代エアコンホースのイメージ(出所:横浜ゴム)
図1 ゴム・樹脂ポリマーアロイを採用した次世代エアコンホースのイメージ(出所:横浜ゴム)
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 従来のエアコンホースは、ゴムを2層に重ねる構造を採用している(図2)。ガスバリア性を高めるには、ホースの肉厚を増すか、内層のゴムの内側に樹脂層を設けるか、いずれかの構造を取る必要があった。しかしいずれも、ガスバリア性は高まるものの質量が増え、柔軟性が損なわれてしまうデメリットがあった。

図2 従来のエアコンホースのイメージ(出所:横浜ゴム)
図2 従来のエアコンホースのイメージ(出所:横浜ゴム)
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 そこで同社は、ゴムと樹脂の配合や製造時の温度などを独自に工夫して(詳細は非公表)、樹脂にゴムを練り込んだ材料「ゴム・樹脂ポリマーアロイ」を開発した(図3)。ゴムを厚くしなくても、樹脂相がガスの浸透速度を抑えるのでガスが抜けにくく、柔軟性も損なわれない(図4)。同社によると、従来の同等製品に比べてエアコンホースを50%軽量化できるという*1

*1 横浜ゴムによると、ガスバリア性などが同等性能の従来製品は1m当たりの重さが180g。ゴム・樹脂ポリマーアロイを採用したものは90g。ただし、ホースの肉厚や直径が異なるので材料の比重が50%下がったわけではない。
図3 ゴム・樹脂ポリマーアロイの拡大写真(左)と、構造イメージ(右)(出所:横浜ゴム)
図3 ゴム・樹脂ポリマーアロイの拡大写真(左)と、構造イメージ(右)(出所:横浜ゴム)
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図4 従来のゴム材(左)と新たに開発したゴム・樹脂ポリマーアロイの断面イメージ(出所:横浜ゴム)
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図5 樹脂層がガスの透過を抑制するイメージ(出所:横浜ゴム) 
図5 樹脂層がガスの透過を抑制するイメージ(出所:横浜ゴム) 
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 自動車用エアコンホースとして用いれば、冷媒の透過を抑えられるので熱交換の効率が良くなる。加えて、従来のエアコンホースと製造工程が異なり多量の熱を消費する加硫工程*2が不要になるため、カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)にも貢献できるという。

*2 加硫:ゴムに弾性を与えるための工程。硫黄や薬品などを配合したゴムに熱と圧力を加え、化学反応を発生させる。

 同社は現在、量産化のための製造工程の見直しなど、実用化に向けた開発を進めている。24年の実用化と事業展開を目指しており、車載部品としての導入を進める。バッテリー冷却ラインなど別の用途への応用や、航空宇宙などの分野でも導入も期待する。