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 ホンダが独自に開発してきた3モーター式ハイブリッド車(HEV)技術の生産を事実上終了する。2021年8月3日、3モーター式HEVの高性能スポーツ車「NSX」の生産を22年12月に終えると発表した。HEVについては2モーター式への「選択と集中」を推し進め、電動化技術の開発の軸をHEVから電気自動車(EV)に移す。

NSXの3モーターHEV技術。ホンダの資料を基に日経クロステック作成。
NSXの3モーターHEV技術。ホンダの資料を基に日経クロステック作成。
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 ホンダの3モーター式HEV技術「SH-AWD」は、14年に上級セダン「レジェンド」に採用した後、16年に2代目NSXに搭載した。レジェンドについては21年に生産終了する計画である。このためNSXの生産を終了すれば、SH-AWD技術を採用した車両はなくなる。なお、これまでのSH-AWD搭載車両の販売台数はレジェンドで8906台、NSXで2558台の合計1万1464台である。

 ホンダは40年に世界で販売する車両の全てをEVか燃料電池車(FCV)にする目標を掲げる。3モーター式HEVの開発を終えることで、開発資源をEVに振り向けられる。

 ホンダは20年、2モーター式HEV技術「e:HEV」を小型車の「フィット」に採用した。併せて、先代フィットに搭載していた1モーター式「i-DCD」の開発を中止した。1モーター式に続き3モーター式の開発を終えて2モーター式に一本化することで、HEVの開発資源を減らせる。

 ホンダは21年8月、NSXを一部改良した「Type S」の先行情報を公開した。性能とデザインを変更したもので「2代目NSX最後のモデルとなる」(ホンダ)。全世界で350台限定(国外320台、国内30台)の販売を予定している。現行NSXの国内販売価格は2420万円(税込み)と高いが、国内向けの30台は「すぐに完売するだろう」(関係者)とみられる。

NSX Type S(出所:ホンダ)
NSX Type S(出所:ホンダ)
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 SH-AWDの今後については「検討中」(ホンダ)というが、HEV技術としての開発を進めることはなさそうだ。ただしホンダは、SH-AWDの開発で培った4輪への駆動力配分技術などは今後も続ける考えである。EV技術としてのSH-AWDの復活などを模索しているかもしれない。

 NSXのSH-AWDは、車両の前にモーター2基、後ろに排気量3.5LのV型6気筒ターボガソリンエンジンとモーター1基を配置する構成で、高い運動性能を実現する。3基のモーターで「走る」だけにとどまらず、「曲がる」「止まる」ことまで制御する。

 操縦安定性を大きく高められる一方で、モーター数が多くてコストは高くなる。NSXやレジェンドといった高価な車種での採用にとどまり、普及価格帯の車両に広げられていなかった。