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 LINEがアプリ利用者の個人情報を海外拠点で取り扱っていた問題について調査を進めている特別委員会は2021年8月4日、二次報告書を公開した。中国からのアクセス状況や政策渉外活動に関する検証結果などを取りまとめた。

 外部有識者で構成する「グローバルなデータガバナンスに関する特別委員会」(座長は東京大学大学院法学政治学研究科の宍戸常寿教授)は、LINE問題を受けてZホールディングス(ZHD)が設置した。LINEにおける個人データの取り扱いの検証・評価のほか、その結果を踏まえてLINEのデータガバナンスの在り方を提言することが目的である。

 中国グループ企業への業務委託に関しては、情報漏洩の事実が認められなかったとした。ただ、中国の国家情報法をはじめとしたガバメントアクセスのリスクに焦点を当てた対応は実施されていなかった点を指摘し、経済安全保障のリスクに対応するための体制の検討を求めた。

 政府や自治体などに対する政策渉外活動では、公共政策・政策渉外部門の少なくとも2人の役職員が「LINEアプリの日本ユーザーに関する全てのデータが日本にあるとの発言またはデータの所在について十分な確認を経ることなく事実に反する発言を行っていたことが確認された」とした。実際には日本のLINEアプリ利用者のデータのうち、画像や動画などは韓国に保存されていた。

 特別委員会は今後、一部報道があった情報法制研究所(JILIS)とLINEの関係、ZHDとLINEの経営統合検討時に実施されたデューデリジェンス(資産査定)の状況についても検証を進め、2021年秋をめどに最終報告書を取りまとめる予定である。